第7話 無力な力
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エルザの幸せのために。
「エルザ……。」
「……姉さん…」
「うぅ……。」
後ろにはウォーリー、ショウ、ミリアーナそしてシモンがいた。
ショウの顔には泣いた後があった。
この4人もロブのじっちゃんに支えられていたのだろう。
泣き叫びたい筈だ。しかし、今はこの楽園の塔から、自由を勝ち取る事が先だ。
泣いていても変わらない。幼いながらもこの4人は理解していた。
「………。(ザッ…)」
俺は立ち上がった。そして、エルザに言った。
「……エルザ。」
「うぅ……。」
「………ジェラールを捜しにいくぞ。」
「…!?」
俺はまだ、ジェラールを助けていない。
五階にある『聖堂』とやらに行く前に、ここに来たからだ。
故に、ジェラールをまだ見つけてすらいない。
「…どうする?一緒に行くか?」
これ以上エルザの大切な人を亡くす訳にはいかない。
早く助けるにはエルザが必要だ。
だから、俺は言った。一緒に行くかと。
すると、エルザは予想通りの答えを言った。
「……はいっ!」
エルザは涙を拭き、はっきりと言った。
「……じゃあ、行くぞ。」
ガシッ!
「!?!?」
シュタっ!!
俺はエルザを抱え、岩を踏み台にして跳びながら上へと進んでいった。
いきなりの事でエルザは……
「きゃあぁぁぁぁぁ!?!?」
悲鳴をあげた。
しかし、下からは…
「頑張れよ!エルザ!」
「兄さんを助けてね!!」
「にゃー!頑張って!!」
と、応援するような声が聞こえた。
そして、周りにいた奴隷達が雄叫びをあげながら再び進みだした。
シュっ!シュっ!
「……。」
「(待ってて……ジェラール!)」
エルザは悲鳴をやめ、必ずジェラールを助ける事を誓った。
そして、俺とエルザは五階にある『聖堂』を目指しジェラールを助けに行った。
しかし、俺は忘れていた。
この先に待つ『闇』の事に……。
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