第六十三話 ステリアの兄さんってヤバくね?
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
安そうに体を預ける。
ブラスはそんなメアリスの様子を感じ取り軽く苦笑する。
飛び出したステリアは、苛立(いらだ)ちながら城内を歩いていた。
「おや? どうしたんだスティ、そんな怖い顔して」
「ギレン兄様!」
ステリアは先程までと違って、笑顔で兄の名前を呼ぶ。
ステリアの説明を黙って聞いていたギレンは微かに頷く。
「なるほど、スティは政略結婚は反対なのかい?」
「当たり前でしょ? 何が悲しくて好きでもない男と結婚しなきゃなんないのよ!」
「あはは! それはそれは、スティらしいね」
「ディオン兄様や、カウェルだって、政略結婚には反対って言ってたわ」
「え? アイツらが?」
少し意外そうに言葉を放つ。
「ねえ? ギレン兄様はどう思うの?」
すると、ギレンは優しそうに微笑むと、ステリアの頭に手を置く。
「僕にだって婚約者はもういるよ」
「知ってるわ。それも政略結婚でしょ? 兄様はそれでいいの?」
ギレンは軽くステリアの頭を撫でる。
「確かに、親が決めた相手だ。でもね、僕はそれが悪いことだとは思っていないんだよ」
「どうして?」
「だって、会ってみなくては分からないじゃないか。もしかしたら、その相手が運命の相手かもしれないだろ?」
「そんなに都合よくいくわけないじゃない」
「あはは! リアリストだねスティは」
「だってそうでしょ?」
「そうだね。でも、そうじゃないかもしれない」
「そ、それは……」
「何事も、決めつけて捨ててはいけないよ? まずはこちらから歩み寄って確かめてみなければ」
「……で、でもそれでも運命の相手じゃないって分かったら?」
「その時は、考えるね」
「考える?」
「そう。僕は王族に生まれた者だ。今まで生きてこれたのも、民が支えてくれた結果だ。僕はいずれ国を背負う。育ててくれた民に恩返しをしなければならない。だから考える。自分にとって、何が一番の選択かを」
真剣な兄の顔を見て、ステリアは顔を伏せる。
「それが、運命の相手じゃなくてもいいの?」
「良くは無いさ。でも、それが国にとって最良なら、僕は迷わずその道を選ぶ」
「……アタシは嫌だな」
「そうだね」
すると、ギレンはそっとステリアの顔を両手で挟む。
「に、兄様?」
「スティ、だからお前は、お前の望む生き方をするんだ」
「え? でも……」
「僕にはできない生き方を、せめてお前はしなさい」
「……」
「もし、好きでもない相手と無理矢理結婚させられそうになったら、僕に言えばいい」
「兄様……」
「その時は、全力で潰してやるよ」
「兄様っ!」
ステリアはギレンに抱き
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ