第4章:モンバーバラの姉妹は狼と行く
第9話:放っておけないッス!
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
(アッテムト)
マーニャSIDE
アッテムト鉱山………
私の生まれる前にゴールドラッシュを迎え、鉱山の町として栄えたアッテムト。
今は見る影もなく、辺りに毒性の強いガスを撒き散らしている。
「ゴホッ、ゴホッ……何よこの町……息苦しいわね……どうなってるのよ!?」
「私が以前聞いた話ですけど……金が出なくなって随分経ちますが、その間も鉱山を掘り進めており、数年前からガスが噴出し始めたとか……」
私の困惑にオーリンが説明をしてくれる。
そんな事は解っているのよ! どうしてこうなったのかを知りたいのに……
無意味な説明で私の事を子供扱いしやがって!
この間の晩もそうだ……もうちょっとでウルフと良い仲になれそうだったのに!
「あまり長居はしない方が良さそうだな。このガスには毒性が…それも魔属性の毒が籠もっている様だ。目的を達したら直ぐにハバリアへ戻ろう!」
流石はウルフ……このガスを即座に魔族性の毒だと断定した。
格好いいし頭良いし頼りになるし……良いなぁ。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ……」
私がウルフに見とれていると、目の前で6.7歳くらいの男の子が咳をしながら苦しそうに蹲る。
何で子供がこんな町に!?
「大丈夫かい君?」
ウルフが咄嗟に少年を抱き起こし、優しい手付きで背中をさすりながら尋ねる。
「う、うん、ボクは大丈夫……それより病院で寝ているお母さんに、お水を届けなきゃ……」
そう言って少年が指差す方には、潰れかけの宿屋が……
ウルフは少年の手を引き一緒に宿屋へと入って行く。
私達もそれにつられ入る事に……
だが、入った事を直ぐに後悔した!
そこは病院なんてもんじゃなく、ただ処置のアテもない患者を寝かし付けているだけの施設。
「これは…酷い……」
皆一様に咳き込み苦しそうに寝込んでいる。
その中に少年の母親らしき人物も……
「ゴホッ……お母さん…ゴホッ、ゴホッ……お水だよ」
少年は手にした水筒から綺麗な水をコップに注ぎ、母親へと手渡し飲ませようと試みる。きっと町から離れた場所まで行き、綺麗な湧き水を汲んできたのだろう……
しかし酷く咳き込む為、折角の水を飲む事が出来ない。
「キアリー」
するとウルフが少年の母親に近付き、背中をさすりながら解毒魔法『キアリー』を唱えた。
途端、彼女の咳が軽くなり、少年の差し出す水を飲む事が出来た。
「あ、ありがとうございます。お陰で大分楽になりました」
「いえ……この魔法は解毒魔法ですが、長期に渡り毒ガスを吸い続けている貴女方には効果が薄いと思われます。一刻も早くこの町から離れる事をお勧めします」
効果が薄い……?
そうなのかしら……でも彼女の咳は収まり、さっきよりは楽になったみたいだけど?
まぁ確かに顔色の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ