第一話:全ての始まり
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ったら今日6時半にまたここに来て。明日の朝まで帰れないから、親にお泊りだって伝えてね」
「わかった」
「じゃあ、またあとで」
「またな」
今は5時過ぎ。親に説明して準備するくらいの余裕はある。
俺は迷いなく歩き出す。
珍しく、もう夕日が辺りを照らしていた。
「いいかげん、出て来てもいいんじゃない?」
ナオキ君が去った後、僕は後ろの草むらに話しかけた。
ガサガサと音が鳴り、そこから宮路学園の制服姿の青年が現れる。
「君は、ナオキ君を『先導者』に引きずり込むつもりなんだね」
「君が、ナオキ君を『先導者』から引き離したいようだったからね」
「なんでいつも僕の邪魔をするの?」
「邪魔じゃないよ。君とは違う選択を選んでいるだけ。そして今回は、僕の選択の方が正しかったみたいだ」
「まだ決まってない」
「そうだね。確かにまだ決まってない」
でも、と僕は言葉を紡ぎ続ける。
「ナオキ君は以前からクレイに関心を持っていた。君の姿を通じてね。だから僕の話に乗ったんだ。ナオキ君がこの選択をしたのは、君が原因じゃない?」
彼は俯く。
「恨むなら、彼をヴァンガードの道へ導いた君自身の選択を恨むべきだと思う」
「わかってるよ。わかってた」
彼は悲しげな顔で、森の出口へ歩き出す。
唐突に、足を止めた。
「……僕を、裏切らない?」
「絶対に。それは君が一番知ってるじゃない」
「うん。……風邪、ひかないようにね」
再び、彼は歩き出す。
日没が、迫って来ていた。
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