第一話:全ての始まり
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き〜んこ〜んか〜んこ〜ん
昔から変わらないだろう間の抜けるチャイムが俺らの解放を知らせる。
このクラスの担任はSHRが短いことに定評があるので、後数分で狭苦しい教室から出られるだろう。
普段ならばアイチとシンゴを連れて部活に励むところなのだが、生憎今はテスト週間。
図書室や教室で勉強する予定が無い大部分の生徒は校舎から追い出される。
勿論この俺、石田 ナオキもそのうちの一人だ。
「じゃ〜な、アイチ!シンゴ!」
「さよならナオキ君!また明日!」
「さよならなのです〜」
二人に手を振り、歩き出す。
校舎の外で別れるのは帰り道の方向が俺一人だけ正反対だからだ。
……別に悲しくも寂しくもない。疑わないで欲しい。いやホントに。
ふと、右手の森が目に入った。
俺の腰ほどにある柵に覆われたこの森で、子供の頃はよく遊んでいたことを思い出す。
枝を拾ってチャンバラしたり、夜にどこまで奥に行けるか度胸試ししたり。
無性に懐かしくなって、いっそ森に入ってしまおうかと思う。
俺の考えを支持するように爽やかな風が森に入っていく。
「……うし!」
学生鞄を小脇に抱え、俺は柵を飛び越えた。
森の中は、思っていたよりも小さく感じる。
けれど穏やかなそよ風や明るい鳥のさえずりは昔のままだ。
「はぁ〜、癒されるぜ〜……」
伸びをしながらぽくぽくと歩く。
足元を小型犬が駆け抜けて行く。
ふわふわの毛並みに似合わぬ鎧はどこかで見たような出で立ちで……。
「……!?」
というかあれアイチが使ってたぽめるがるじゃ?
なんでこんなところに?
ていうかあれはカードであって実際にはいないよな?え?
「お〜い!ぽめるがる〜!あんまそっち行っちゃダメだよー!」
前から聞こえるその声にぽめるがるらしきもの(以下ぽめるがる)は振り返り、声の主のもとに向かったようだ。
というか、この声聞き覚えがあるような……?
好奇心に駆られぽめるがるが駆けて行った方向に歩を進める。
「もう、危なっかしいんだから……」
ぽめるがるを抱え微笑んでいたのは俺よりも若干年下らしき少年。
藍色の髪と瞳、固まりかけの血のような色をした春物のセーター、鈍い青の上着に、黒に近いジーパン。
異様に白い肌以外、薄い墨を被ったような姿だった。
見たことがあるような、無いような。
不思議な感情にゾクリとする。
気づいたら、彼に声をかけていた。
「あの」
「!」
驚いた表情。慌ててぽめるがるをその体の後ろに隠す。
「もうバッチリ見てるんで無駄ですよ、ソレ」
「……そうですか」
再びぽめるがるを抱えなおす。そしてマジマジと俺の顔を見つめる。
「ナオキ君、だよね?」
「へ?」
「ナオキ君でしょ、宮路学園の。覚えてる?僕、一宮(い
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