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渦巻く滄海 紅き空 【上】
五十二 警告
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ケを背に、キッと我愛羅を睨み据える。ようやく追いついた彼女達は荒い息を繰り返しつつも戦闘体勢をとった。

ナルと入れ替わるように、秘かに身を潜める。概ね計画通りに事が運んだ為、君麻呂はサスケから離れた。すぐさまサスケの傍へ向かったサクラにも気づかれずにその場を立ち去る。

我愛羅の興味の矛先がナルに移る。あのナルトが何度も口にした彼女の存在は我愛羅の気を引いた。
「そこまで言うなら教えてもらおう」
にやりと口角を吊り上げる。今の我愛羅の視界にはパックンもサクラもサスケも、そして何時の間にか消えた君麻呂ですら入っていなかった。

「…波風ナル、俺と闘え…ッ!!」
生きる理由を、存在の意味を、探し求めていた答えを知る。その為に。























「その身体…何人目じゃ?」
「二人目…ですかねぇ」

大蛇丸から【不屍転生】の術について聞いたヒルゼンは昔の事件を思い出していた。


かつて木ノ葉の里で続出した、下忍から中忍果ては暗部の行方不明者。その犯人が自身の愛弟子である事実を今でもヒルゼンは信じたくはなかった。しかし彼は今ようやく、眼前で佇む彼の変わり様に理解したのだ。

全てを知り尽くす。子どものように純粋であるが故の変化。知りたいという欲求が生み出した現在の状況。
人が踏み越えてはならぬ神の領域。その禁忌に大蛇丸が一歩足を踏み入れてしまったのだと。

真理を追い求めた結果が是か、とヒルゼンは憐憫の眼差しで彼を見据えた。
どこから変わってしまったのか。どうしてこうなってしまったのか。


(…いや。今からでも遅くはない)
心中自分に言い聞かせるようにヒルゼンは呟いた。幾ら姿形が変わっていようとも目の前にいるのは木ノ葉の三忍の一人であり、そして―――。

「でも貴方には……やはりこの顔ですかねぇ」

幼き頃の面影が残る、自分の大事な教え子なのだから。








「もう何をやっても遅い…。木ノ葉は滅びるのよ」
「木ノ葉の里はわしの住む家じゃ。火影とはその家の大黒柱として家を守り続ける存在…。そして里の者は皆、わしの家族。家族がいる限り、木ノ葉は滅びぬ!」

影分身の術で三人に増える。師の突然の奇行に大蛇丸は目を細めた。昔と変わらぬ、切れ長の瞳を。
「やはり貴方は老いた…。残り少ないチャクラで【影分身】とは―――よほど死に急ぎたいらしい」
くいっと顎を動かす。大蛇丸に従い、二代目火影が印を結んだ。

「【幻術・黒暗行の術】!!」

闇に覆われる。結界の匣を喰い尽くしたかの如き暗闇は、ヒルゼンの視覚から光を奪う。
完全な黒に塗り潰された空間で、大蛇丸の囁き声が響き渡った。

「下らぬ戯言
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