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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission8 ヘベ
(2) マンションフレール302号室 A
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はいつものユティだ)

 ルドガーがエルとミラと買ってきた文房具や素材を埋め尽くす写真の束。いや、これはもはや海と表現したほうが正しいかもしれない。写真の海からおのおのが自分が写った写真、自分が関係する写真、単純に気に入った写真をサルベージしていく。

(うわ。これ列車テロの時のじゃねえか。なつかしー。そーいや社長のほうから握手してもらったんだっけ。今考えるとすごいことだよな。あ、これ、エルの。これ撮った後でエルが怒ってユティとケンカんなったんだっけ。げ、リドウ! ドヴォールでのアレか。ヤなこと思い出しちまった)

 一つエピソードを思い出しては百面相。それは仲間の誰しも変わらないようだった。

「ルドガー。写真、直接台紙に貼らないほうが、いい」
「えっ。下に何か敷いたほうがよかったのか」
「違う。のべつ幕無しに直貼りしてったら、最後のほうでページが足りなくて、泣くことになる」
「はは、ごもっともで」

 その道のプロのアドバイスに従ってスティックのりを放り出し、マスキングテープで仮留めするにとどめた。そして次の写真を探していたルドガーは、見過ごせない一枚を発見して思わずイスを立った。

「こんなのいつのまに撮ったんだっ」

 路地裏でユリウスが白猫を撫でている写真をユティに突きつける。

「結構前にドヴォール寄った時。レイアがマクスバードで逃がした猫ユリウス。見つけたから追いかけた。そしたら人間ユリウスともエンカウント」
「何ですぐ俺に言わなかった!」
「忘れてた」

 ルドガーは再び、今度は本心からテーブルに沈没した。もうイヤだこのカメラフリーク。

「で、偶然会ったアルフレドと一緒に届けに行った。飼い主のおじいちゃんに」
「慈善事業家のじーさんだったんだけどな。娘二人亡くしてるっつってた」
「そばに置いときたくなる気持ち、分かる気がします」『おじーちゃん、寂しいんだね〜』

 写真には白猫を抱えて闊達な笑みを浮かべる老人。いかにもその筋らしきハゲ頭にサングラス。

(ほんっと人は見た目で測れないよなー)

「プリンセシアの花二輪、献花に持ってこいって依頼もあったよね。そのままア・ジュール地方の親睦旅行に突入したやつ!」
「あったあった。思いがけず姫の故郷に行けてラッキーだったよな」

 アルヴィンが選び出したのは、エリーゼの生家跡地のプリンセシアの花畑で撮った集合写真。
 この写真を撮った後、エリーゼの実の両親の死とエリーゼ自身の過去の断片を打ち明けられた。過去に負けずに笑う彼女をルドガーも応援したくなった。

「あ、これ。ドロッセルのお屋敷です」

 エリーゼが持つのは、ドロッセルの依頼で屋敷の「害虫」駆除をした時の一部始終を収めた写真。
 本気の女二人+ぬいぐるみと
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