第百二十三話 拝領その三
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「しかも返ってくるものはです」
「確実に、しかも多く」
「下手に戦をするよりも随分といいですな」
「そうじゃな。まずは政」
それこそはだった。
「兄上らしいな。ではわしもじゃな」
「はい、お願い出来ますか」
信行も朝廷への働きかけに加わって欲しいというのだ。
「勘十郎様もまた」
「最初からそのつもりじゃ。ではじゃ」
「はい、朝廷への働きかけを強めましょう」
「やはり帝じゃな」
信行もこの方のことを注意していた。
「あの方にまで話を進めようぞ」
「全てはそれからですな」
「そこまでいかねば東大寺に行ってはならうな」
「はい、明智殿もそう仰っています」
「明智殿か、あの御仁はな」
「かなりの切れ者ですな」
「全てにおいて存分の働きを見せる」
朝廷のことだけではなくというのだ。
「そして政もな」
「朝廷のことにもお詳しいですし」
「田畑も町も充分に政をし」
「外交もできます」
「万全じゃ」
とにかく何でも出来るのが明智だというのだ。
「織田家にもあれだけの御仁はな」
「おられませぬな」
「他におらぬ」
明智程はというのだ。
「猿がやるがな」
「しかし猿朝廷のことには暗いです」
このことは仕方がなかった、何しろ羽柴は尾張の百姓の倅だ、それで朝廷のことなぞ知っている筈がない。
「礼にもです」
「知らぬからのう」
「そうしたことに捉われないことも猿のよいことですが」
それでもだというのだ。
「そこがどうも」
「そうなるのう」
「そうしたことを考えると明智殿は」
「全てにおいて秀でておるな」
「今度の朝廷のこともかなり動いておられます」
それも確実にだ。
「お陰でその帝にまで話が届くことも」
「間違いないか」
「はい」
村井はこう信行に述べた。
「林殿だけでなく明智殿もおられますし」
「新五郎は相変わらずよい仕事をするのう」
「こうしたことについてはあの方の右に出る方はそうはおられませぬ」
朝廷との斡旋、そして外交ならば林だというのだ。彼は他に田畑の開墾に町の整も得手としており織田家の政に大きく貢献している。
信行もそのことを知っていて言うのだ。
「頼りになるわ」
「ですな。織田家は人が多いです」
「実にな」
「では勘十郎様も」
「うむ、朝廷の方々とお会いしようぞ」
「ただ。殿が仰るには」
村井は信長からの伝言も伝えた。
「勘十郎様は少し吝嗇なところがあるので」
「銭は惜しむなか」
「そう伝えて欲しいとも仰っていました」
「確かにわしはそんなところがあるのう」
自分でもそれがよくわっていた。
「どうも銭を派手に使うのはな」
「抵抗がおありですか」
「織田家も数年前まで尾張の半分程度を治めているだけだった」
ほ
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