第百二十三話 拝領その一
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第百二十三話 拝領
蘭奢待について織田家は活発に動いていた、林は村井達と共に都に入るとすぐに事前に報せを受けていた明智達と合流した。
明智の他には細川もいた、一行は茶室に入ったがそこで話を聞いた細川は驚きを隠せない顔で林に問うた。
「あの蘭奢待をでございますか」
「左様です」
林はその通りだと答える。
「殿はそうお考えです」
「ううむ、それはまた」
細川はあらためてその話を聞いて唸った。
「かなりのことですな」
「出来ると思われますか」
「正直に申し上げて宜しいでしょうか」
細川は林の顔を見据えて言った。
「それがしの見立てを」
「はい」
林も細川の顔を見据えて答える。
「お願いします」
「果たせれば大きいですが」
それでもだというのだ。
「かなり難しいかと」
「そう思われますか」
「相当なことです」
その蘭奢待を拝領するということはだというのだ。
「そうそう出来るものではありません」
「そうですな。しかし」
「しかしですか」
「殿は出来ると見極められておられます」
「織田殿はですか」
「殿のことはもうご承知ですね」
「はい」
細川もそのことは知っている、そのうえでの返事だ。
「出来ることを見極めて」
「そうして動く方ですな」
「だからです」
「必ず出来ると」
「だからこそそれがし達は今都に来ています」
そうだというのだ。
「そして今よりです」
「朝廷、そしてですか」
「帝にお話をされますか」
「そうします」
「大掛かりな話ですな」
細川はここまで聞いて袖の下で腕を組んだ、そうして林達に顔を向けてそのうえでこう言ったのだった。
「しかしです」
「しかしですか」
「面白い話であります」
ここで楽しげな笑みを見せる。
「実に」
「では細川殿は」
「それがしは織田家から禄を頂いています」
これが細川の返事だった。
「ですから是非共」
「共に働いてくれますか」
「はい、それに」
「それにとは」
「これだけのことをされるとは」
信長の話にもなった、その蘭奢待を拝領するという。
「流石ですな」
「細川殿もそう思われますな」
「はい、伊達にここまで至った方ではないですな」
「それだけにこのことも」
「やりがいがあります。やるのなら大きなことを」
それをだというのだ。
「織田殿は我等にそうしたものも用意して下さいますな」
「だからこそよいのです」
林は茶を飲みながら細川に話す。
「殿は我等に禄だけをくれませぬ」
「大きなこともですな」
「下さいます」
「ではまずはです」
これまで沈黙していた明智が言ってきた。
「公卿の方々に働きかけましょう」
「どなたが宜しいでしょう
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