ブリッツ学園までの道のり
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あぁ空はこんなに青いのに、風はこんなに温かいのに、太陽はとっても明るいのに、どうしてこんなにハードなのか。
前で自転車を漕いでいる名前も知らない女子は、俺のことを知ってるし。コイツどう見てもブリッツだし。
「なあ、お前の学科は何だ?」
「えっ? 普通科だよ」
今の答えは俺をバカにしている。ブリッツ学園に普通科なんてない。あるのは純魔法科と科学魔法科の二つだ。
「榎井くんは、何科なの」
「普通科だよ。ただの凡人だしな」
「ふーん。じゃあ魔法についてはどのくらい知識があるの?」
「辻が雷使いってことぐらいだ」
「そ、そっか」
「聞いて気まずいならいちいち聞くな。微妙に残念そうな空気まで出しやがってからに。そもそも魔法の使えない人間に、そんな知識は要らないだろうが」
「違うよ。むしろ逆だよ。使えないから知るべきことなんだよ」
うわ、うざい。今から長々と説教でも始めるつもりなんだろうな。余計なことは口走らないのが世渡りの基本だと言うことを忘れていた。
「例えば、戦いに巻き込まれたら、どう対処できるかも模索しやすいしね」
「それがどうした? 関わらなければ全て問題ない」
どうせ知らないよりは良い程度のことだろう。知ったところで勝てはしないのだから……。
「もし、目の前にいきなり腹ぺこの熊が出てきても、榎井くんは同じ反応なのかな?」
「それは極論じゃないか?」
「質問を質問で返さないで欲しいかも」
わがままなやつだ。他に答えがないだけだけどな。しかし、早く逃げないと学園に拉致られてマジでボコボコにされかねない。
だからとて、自転車を奪われた今、どうやっても逃げ切れる気がしない。
「さぁ、ブリッツの正門に着いたよ。今日から僕たちここの生徒だね。榎井くんもワクワクしない?」
学校の正門と言うより、凱旋門のように華やかな門だった。校舎の外観も昔の洋館を連想させる造りになっている。さて、覚悟決めて死地に向かうしかなさそうだ。
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