1話
1話 リンネ 1
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佑介が熱弁していた。見慣れているだろうに、何故か興奮しながら。
「うぅん、この前朱里と来た時に見つけたの。ここゆったりと落ち着けるから通おうかなと思ってね、お値段も良心的だし。」
「コーヒー一杯150円とかだもんな……儲かるのか?この店」
学校でするような他愛無い話を続けていると、凛音が突如席を立ってカウンターへと向かった。無言でお金を払うとこちらを振り返りもせずに出ていってしまった。
「もしかしてデート中だった?ごめんね邪魔しちゃって」
「あの状況がデートだっていうならお前とは散々デートしてることになるな」
かいつまんで説明すると、くすくすと笑う柚子葉。
「そうなんだ、なんだか変わった子だね。りんねちゃんだっけ」
「おう、なんか有名な歌姫だって佑介が言ってたけど……あ、忘れてた」
「どうかしたの?隆明君」
「悪い柚子葉、携帯貸してくれないか?佑介に電話入れとかないといけないんだ。」
軽く頷くとカバンの中からピンクのスマホを取り出す柚子葉。ごてごてとストラップを付けるのが流行っている中、この携帯はシンプルに一つのみ。だが何故かどすこいと書かれた吹き出しがついたストラップなのは何かズレているように思えた
慣れた手つきで“堤佑介”を探しだし、ダイヤルすると、先程聞いた凛音の歌が流れてきた。
「お前も凛音の曲流してるじゃねーか、好きなのか?」
「うん、いい曲だよね。ただテレビは見ないからさっきの子がりんねちゃんって知らなかったの。」
返事をしようとしたが、曲が途切れ向こうの声が聞こえてきたので閑話休題。
「はーい!マイスイートハニー笠井柚子葉!俺に何か用?」
「おう、お前のお耳の恋人浅葱隆明だ。今何処にいるんだ?」
「なんでお前が柚子葉の携帯から掛けてくんのよ……あれか?早速デート券を使用したか?」
「もらった記憶はないぞ。柚子葉とは偶然会っただけだ。とりあえず今何処にいる。」
「今は花時計の前でリンネちゃんを探してるよ。お前は手掛かりあったか?」
「手掛かりあったってかさっきまで俺の目の前でメロンフロート飲んでたよ」
ガシャーンという音が携帯から響いてきた。謝っているのでたぶん自転車か何かを倒したのだろう。
「どうしてお前にばっかり女の子が集まるんだ!あれか、身長か?顔か?朱里といい柚子葉といい」
「凛音はともかく朱里も柚子葉もお前と幼馴染だろうが、何馬鹿なことを言ってやがる」
「いーや!お前といる時は二人の態度が違うぞ。特に柚子葉が男子相手に無防備な姿を見せるのはお前くらいだよ」
ちらりと横目で柚子葉を見ると、い
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