第76話 =信じたくないもの=
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路が。
「高さはここでいいか?」
「はい。――もう、すぐ……すぐそこです」
ユイはキリトの手を握り走り始めたのでとにかくそれを追う。さらに数十秒を内周に並んだドアを通り越して走るとユイは突然何もない場所で立ち止まった。まだ先に道は続いている。
「…いきなりどうしたんだ?」
「この先に…通路が…」
そういいながらユイは扉に触れると、ゲートのときと同じように青い光のラインが直角に曲がりくねりながら壁を走る。すると一部の太いラインが四角く壁を区切ってブン、という音とともに消滅した。その中にユイは無言で足を踏み入れてさらに駆け出す。先ほどよりもペースが上がっているところを見るとどうやらアスナが近いらしい。
ユイの開けた通路を走っているとその空けた本人であるユイがまた通路の真ん中らへんまで来て止まった。
「…こっちにアスナが?」
「……いえ…っ」
ユイは先ほどのように通路の壁を消失させる。するとそこには辺りと同じような通路だがやや下っているような、そんな通路が見えた。
「この先に…ユカ姉がいます…!!」
ユイの言葉に一瞬息を飲んでしまう。そしてこの世界には無いはずの心臓が一瞬ドキッと大きく鼓動を打ったような気もする
が手を胸に当てても何の反応もない。
「…そっか…なら」
落ち着かせるために数度深呼吸して気持ちを落ち着かせる。ユイの言うことだし今ここにそれを嘘だと疑う根拠すらないから迷うことなく俺はその通路へ足を踏み入れる。
「俺はこっちに行くよ。……アスナ、絶対助けろよ」
「当たり前だ。そっちも気をつけろよ」
キリトの言葉を聞いて、俺たちは手のひらを打ち合わせる。パンッといい音が鳴り響いて誰か来ないかと思わず警戒したがそんな様子はなかった。ユイは1人になる俺を心配するように上目遣いで見てくるのでその頭に手を置いてぐしゃぐしゃとなでる。
「大丈夫だって。絶対にユイとまた会わせてやる。絶対だ」
「…約束…ですよ!」
ユイの声を聞いて俺は坂を下るため1歩1歩足を踏み出す。向こう側のキリトたちもすでに行ったのか通路の先へ行った足音が聞こえてくる。
「よしっ!!」
頬を数回叩いて気合を入れなおす。ここでユカを助けれなかったら俺をここまで連れてきてくれたキリトにユイ、リーファやサウス、そして決死の攻撃を見せたレコン、立場を捨ててまで助けに来てくれたサクヤさんやアリシャさんの思いを全て無駄にしてしまう。それだけは駄目だ、絶対に助け出す。
「…待ってろよ……!!」
そう呟いていたときには俺はどんどん走るスピードを上げていた。
――――――――――――
「……どうなってるんだ?」
いつからだろうか、進むにつれてつるつるだった
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