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魔法少女リリカルなのは〜その者の行く末は…………〜
Chapter-1 First story~Various encounter~
number-7 The past The present The future
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省してないし、後悔もしてないの。自分のやったことは正しい。家から疫病神を追い出そうとして何が悪いんだって。
それに、燐夜君も今のままでいいって思ってる。もう二度とあいつと会うことはないって。だからね、燐夜君は昔にあったことがトラウマになってるんじゃなくて、お兄ちゃんとトコトン粗利が合わないの。
…………すずかちゃん、アリサちゃん」


なのはは、ずっと誰にも言わなかったことを親友である二人に初めて吐露した。このことは士郎も桃子も知らない。当事者である二人から直接聞いた事実。
それらを告げた後、なのははすずかの名を呼んだ。


すずかは返事をすることはなく、なのはの顔を見ていた。
アリサは慎重な面持ちでなのはを見ている。
なのはは、頬を掻いて若干気まずそうにしながらも、二人を見て自分の兄である恭也の弁解をする。


「お兄ちゃんのことを悪く思わないで上げて。あの人は、自分のやったことを今更謝れるかとか、不器用な人なの。反省も後悔もしてないって口では言ってたけどそんなことはないって思うから。だから、だから」


なのはは、感情を抑えきれずに涙を零した。俯いて手を握りしめて、嗚咽を漏らし、何も話さなくなってしまった。
アリサは何も言わずになのはの背中をさすって慰めている。
すずかも自分の姉である忍に恭也について何か言おうと思っていたが、なのはの言葉にそんな気持ちが無くなってしまった。もし自分がそんなことをやってしまえば、なのはたちとの関係が悪くなるし、なによりも今のこの環境が一番居心地がいいのだ。


すずかはそんな悪いことを考えてしまった自分に後悔する。
そして今の悪い空気を取り払うため、笑顔を取り繕って話し出す。


「もうおしまい。こんな悲しい話は。明日は温泉旅行なんだよ? 早く帰って明日の準備しよ?」
「そ、そうね。そうしましょ」


すずかは自分の言葉にアリサが便乗してくれたことに安堵しながら二人に帰るように促す。
アリサも俯いているなのはの背中を優しく叩いて、促す。
俯いていたなのはは、泣き顔を見られたくないのか、腕で目を擦ってから顔をあげて笑って見せた。


三人は並んで帰る。


「…………まったく無茶しやがって……」


校門の石柱の陰に隠れるようにして、なのはたちの話を聞いていた燐夜は呆れたように言っているが、嬉しそうでもあった。
身を預けていた石柱から離れて、自分の家に向かう。
だが、燐夜は忘れることが出来ないだろう。


――――あのなのはの、泣いて赤く腫らした目元を。


「…………はあ、歩み寄ってみるかぁ。あいつと」


今、高町家と燐夜との関係は、まだ冷たい氷のようなもので覆われている。
それが溶け出しているような感じがする。

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