プロローグ
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それはある冬から春に掛けて移り変わろうする日の夜。凍てつく寒さで木々は凍り、大地は真っ白い雪で覆われた森の奥深く。
人が誰も近づかないその場所に大小二つの人影があった。
一つは黒い髪に美しい容姿を持つ若い女性、身に纏う肩口が大きく開いたドレスは上半分が純白、下半分が漆黒という異質なモノ。
もう一つは小さな赤ん坊。大体二歳ぐらいだろうか寝転がりながら嬉しそうに女性の両手の指を掴みはしゃいでいる。
『私の可愛い子・・・』
はしゃぐ赤ん坊とは対照的に女性は笑顔ながらも涙を流していた。
『私の可愛い息子・・・・』
女性は優しく赤ん坊わ抱き上げる。そして、冷たい眼差しで目の前の虚空を睨み付け呼び掛けた。
『そこにいるのは分かっておる。さっさと妾の前に姿を見せよ
『これはこれは、私をお呼びでごさいますか?』
そこから姿を現したのは薄紫色の髪を持つ女性。愉快そうに笑う彼女に対して赤ん坊を抱く彼女はその冷たい眼差しを一層鋭くする。
『能書きはよい。要件は分かっておろう』
『存じておりますとも』
薄紫色の髪の女性は着ているドレスの裾を摘まむと赤ん坊に向けて丁寧に礼をする。
『御初に御目に掛かります殿下。宵貴方様の母となりますパンドラと申します』
『世迷い言を抜かすな。この子の母は妾だ』
『ケチケチしないでくださいよ~。私の子供に赤ん坊なんていないんですからちょっとぐらいいいじゃないですかぁ』
『貴様、妾と夫を敵に回すつもりか?』
『じょ冗談ですよ。石に私も貴殿方ご夫婦を敵に回したくないですよし』
『ならばさっさと済ませろ。この子にはもう時間がないのだ』
『かしこまりました』
パンドラと呼ばれた女性は恭しく礼をする。
それを見届けた後、赤ん坊を抱く女性はその小さな右手を自身の心臓のある場所へと沈めていった。
『さぁ皆様! 新たにこの世に生まれし神殺し、神々と戦う運命を得た冥界の女王の息子に生誕の祝福と憎悪を与えて頂戴!』
『私の可愛い息子、貴方に私の、冥界の女王ペルセフォネの全てをあげましょう。生きなさい、何者にも負けずに生きなさい。私と再び合間見えるまで生きなさい。その時こそ私は貴方を殺し、共に家に帰りましょう。』
笑う彼女は光を放ちながら輪郭を崩していく。最後に赤ん坊の頬に唇を落とした後に彼女は姿を消した。
光が治まった森の中には赤ん坊だけが取り残されていた。先程までいた薄紫色の髪の女性の姿もなく、雪の上で赤ん坊はいつの間にか眠りについたのか小さく寝息をたてている。
『・・・・・・』
そこに降り立った複数の影。
背中に翼を生やした3人の女性。彼女達は赤ん坊を取り囲むようにし方膝を付きながら頭を下げる
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