act-1"the-world"
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た。そして放たれた第一声こそが「あんたたち、なにしてるの!?」である。
なにも彼女には関係なかった。ただ、ユウトを視界に捉えてしまっただけ。それなのに、いつの間にか問題の渦中に自分もいて。
「……ミノリちゃんが言いたくないのならそれで良いけど…人生の先輩として、厳しいかもしれないけど、一つ言わせてもらっても良いかしら」
「…はい……?」
「……ユウトくん、ミノリちゃんのこと…避けてるわよ」
キョウカの言葉にミノリの体がこわばる。大きく吸い込んだ息が胃の中に充満するだけで吐き出せない。自分でも分からないほど小さく手が震え、マグカップのコーヒーが小さく波を立てている。ユウトが避けている。あのユウトが、私のことを。
「そんな、なんでっ……」
「それはね。……ユウトくんが男の子で、ミノリちゃんは女の子だからよ。あくまで赤の他人の、男の子と女の子だからなの」
「それだけで…ですか……?」
「えぇ、それだけでね。……けどそれって、彼にとってはすごく重要なのことなのよ。彼ぐらいの年頃って一番多感な年頃で、異性とか、友達とか、家族とかの目をすごく気にする頃なの。…要するに、思春期って奴ね。そんな時期に女の子に庇ってもらったり、助けてもらったりする男の子って…どうかしら。私がユウトくんの立場だったら…すごく複雑だと思うのよね」
「…でもっ…あのとき私がいなかったら、きっとドウミョウジに―」
「えぇ、もっと酷い目に遭わされていたかも知れないわね。…けど、人はそうやって強くなるものよ。護られてばかりでもいけない…自分一人の力で解決すべき時もあるの。ミノリちゃんは優しいけど…優しすぎて、ユウトくんが自分の力で解決するチャンスを奪っているようなものなのよ?」
キョウカの言葉を一つ一つ受け止めながらミノリは思い返す。事ある毎にコウスケからの嫌がらせを受け、暴力を振るわれる度、その間に割って入ったのはミノリだった。そうなると大方、コウスケが一方的に捨て台詞を吐き捨てて去っていくか、ユウトが謝罪をしてトラブルは終わる。ユウトを護ろうとコウスケに食ってかかっているが、結局なにも変わらない。コウスケが一方的な勝利を勝ち取りユウトが屈辱を受けるというそれだ。助けたことになどならない―ユウトを庇うことで、彼自身に辛い思いをさせているだけだった。
「過保護すぎたってこと―」視線を落とし、先ほどまでとは打って変わってか細い声で呟くミノリに、キョウカは続けた。
「…だからって、ユウトくんを突き放せっていうわけでもないわ。ただ、いつもより一歩引いて見守ってあげてほしいの。……手を貸すのは、本当に手を貸すべき時まで取っておくの」
「本当に手を貸すべき時―?」彼女の言葉にミノリは顔を上げ、キョウカの目を見つめた。
「それっていつですか?どん
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