第8話
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謝した。
だけど、彼女は少しだけ寂しかった。
少女には心を許せる友人が一人もいなかったのである。誰もが優しくしてくれる。大事にしてくれる。だが、誰も彼女の友達にはなってはくれなかった。
彼女は理解していた。
彼らが裏で、自分の力を異質ものを見る目で見ていたことに。
彼らは彼女を、人間ではなく「人を治療できる生き物」のような感じで少女を見ていた。
そして、ある日、転機が訪れる。
少女はたまたま自分の近くに現れた悪魔を治療してしまった。
怪我をしていた悪魔を見捨てられなかっただけ。彼女の優しさだった。
怪我をしているなら悪魔といえど、治療しなくてはならない。
ただ、彼女の生来の優しさがそうさせたのだ。
しかし、それが彼女の人生を反転させた。
その光景を、偶然見ていた教会関係者の一人が、それを本部に報告した。
本部の司祭は、その事実に驚愕した。
「悪魔を治療できる力だと!?」
「そんな、バカなことがあるはずない!」
「治癒の力は、神の加護を受けた者にしか効果を及ぼせないはずだ!」
そう、治癒の力を持った者は世界各地にいた。
しかし、悪魔を治療する力は規格外だった。治癒の力は悪魔と堕天使には効果がないと言うのが教会内部で認知されていたからだ。
そういう事例は過去にもあったらしい。
神の加護を受けない悪魔、そして堕天使さえも治療できる力。しかし、それは「魔女」の力として恐れられていた。
そして、教会の司祭たちは少女を異端視するようになる。
「悪魔を癒す魔女め!」
聖女として、崇められていた少女は、悪魔を治療できるというだけで今度は「魔女」の烙印を押され、教会から恐れられ、呆気なくカトリックから捨てられた。
行き場のなくなった少女を拾ったのは極東にある「はぐれ悪魔祓い」の組織。
つまり、堕天使の加護を受けなくてはいけなくなった。
少女は、間違っても神への祈りを一度たりとも忘れたことなどない。感謝も忘れたことなどなかった。
なのに、彼女は捨てられた。
少女が一番ショックだったのは、教会内で誰も自分を庇ってくれる人がいなかったこと。少女の味方は誰一人としていなかった。
「・・・・・・・・・・きっと、私の祈りが足りなかったのです。ほら、私抜けているところがありますから」
アーシアは笑いながら、涙を拭う。言葉が通じない渚は、木場に通訳してもらっていたらしい。
部員の誰もが声をかけられなかった。想像を絶する彼女の過去を知り、どうやって声をかけたらいいのかわからない。
「これも主の試練なんです。私が全然ダメなシスターなので、
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