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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第62話 海軍食の基本と言えば?
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調べてみます」

 結局、殆んど役には立たなかったけど、まったく役に立たなかった、と言う訳でもない。故に、そう御礼の言葉を口にして置く俺。
 そんな俺の目前に、厚い霧のベールの向こう側から、一人の男性が顕われた。

 中世貴族風の衣装。ハルケギニア貴族の証のマントを羽織る事もなく、腰には馬上剣を佩く。
 確かに、この世界の貴族の証としてのマントの着用が何時から始まったのかは判りませんが、地球世界のヨーロッパでマントを羽織っていたのは、当然、防寒などの意味も有ったのですが、それ以外には街を歩く際に上空から降って来る汚物対策と言う側面も有ったと思います。
 つまり、別にそんな対策を必要としない土地神……つまり、霊的な存在で、ケルトの魔女のように帽子とマントで円錐を模して魔術の効果を高める必要がないのならば、マントを着用して居なくても不思議では有りませんか。

「龍の血を引く少年よ。少し頼みたい事が有る」

 姿を顕わした土地神が、それまでの上から目線の雰囲気などではなく、依頼を行う者に相応しい態度に改まっていた。
 但し、直接姿を現した事により高まる霊圧。栄えて居る軍港の土地神で有る以上、この眼前の存在は生前に軍人として名を成した存在である可能性が高い。

「私に出来る事ならば」

 当然、そう答える俺。高まる威圧感に関しては無視。確かに、神威と言うレベルに近い霊圧と成って居るのは事実です。しかし、そんな物に気圧されている訳にも行かない。
 何故ならば、このタイミングで土地神から依頼される内容が有るとするのなら、それを解決するには……。

「今、このブレストの街は異常な悪意が支配している」

 重々しい口調で、俺の予想通りの内容を口にする土地神。それに、この点に関しては、俺もこの街に入ると同時に感じて居た事と同じ。
 いや、おそらく、湖の乙女も同じように感じていたはずですか。

「儂には今、何が起きて居るのか判らないが、それでも、この異常な状況を捨て置く訳には行かない。それで、この街の異質な雰囲気を祓う事をお主にやって貰いたい」

 少し振り返り、乳白色に染まった世界を一周分、見渡した後、ぽつりと、そう、土地神は言った。
 その中に感じたのは、僅かな無念の思い。この土地(故郷)に対する彼の強い思いを感じさせずにはいられない雰囲気。

 神界が人間界に過度に関わる事は世界を歪める行為と成りかねないために為される事は有りません。通常はその事件を解決出来る人間が、偶然か、それとも必然か判りませんが関わらせられる事が普通です。
 その例から言うのなら、今回の場合は未だマシな方ですか。

 何故ならば、少なくとも、俺の方の意志の確認を行って居ますから。

「判りました。私の力の及ぶ範囲でやらせて貰います
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