第5章 契約
第62話 海軍食の基本と言えば?
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その白の世界を、俺の霊気に因ってもたらせられた清浄な蒼が、少しずつ大気と混ぜ合わせるように、ゆったり、ゆったりと広がって行く。
そう。俺の笛から発生している霊気が、俺の身体に。そして、傍らにすぅっと立つ少女の身体をそっと抱きしめるように纏わり付き、其処から更に、霧の支配する世界へと支配領域を広げて行って居るかのようで有った。
高く、低く、
刹那。深い霧に隠され、夜の帳の降ろされた世界に、異質な気配が加わった。
その瞬間、奏で続けて居た土地神召喚用の曲を終了させる俺。そして、俺の傍らに立つ湖の乙女が、深い霧に覆われた乳白色の世界の向こう側の一点を、その瞳で見つめる。
そう。彼女が見つめる先に、何かが居る。
おそらく、顕われたのは、この地を支配する土地神。
但し、肌に感じて居るのは霧がもたらせる冷気などではなく――――――隠そうとさえしていない不機嫌な雰囲気。
ただ……。
「儂を呼び出したのは、貴様か?」
明らかに不機嫌な様子で、そう霧の向こう側から問い掛けて来る男性の声。
但し、未だその姿形は見えず。確かにこの深い霧の所為も有るのでしょうが、土地神自身が、姿を見せないようにして居る可能性が高いですか。
確かに、すべての土地神が友好的で有るとは限りませんし、栄えて居る土地の土地神ならば、土地神とは言っても、かなり能力の高い存在も居ますが……。
「初めまして。私は異世界の龍の血を継ぐ者。名を武神忍と申します。以後、御見知り置き下さい」
先ずは、基本の挨拶から入る俺。これが人間関係の基本ですから。
確かに、素通りする。もしくは、留まるにしても旅の途中で一時的に留まる程度ならば問題ないのですが、この地に留まって仕事を行うような場合には、地元の土地神に挨拶を行って詞を授けて貰った方が、仕事がスムーズに行く事の方が多いのも事実。
もっとも、土地神と言う存在は絶対の存在などではなく、因り能力の高い存在には、あっと言う間に倒されたり、封じられたりして仕舞う物なのですが。
そして、タバサに呼ばれてやって来てからこの世界で俺が巻き込まれた事件は、土地神程度では解決する事が難しい事件ばかりだったような気もするのですが……。
そうして、その挨拶の口上に続けて、
「ブレストの土地神さまにお聞きしたき事柄が御座います」
……と、取り敢えず、下手に出て相手の出方を窺う俺。確かに、この目の前に顕われたブレストの土地神の相手をして、倒さない程度に抑え込む能力が俺には有るとは思うのですが。
それでも、この土地の霊気を一番上手く操るのはその土地神。そして、その土地の祝福を一番享受出来る存在も、当然、その土地の土地神でも有ります。
果たして、今の俺の能力で
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