第5章 契約
第62話 海軍食の基本と言えば?
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糧についても、今年は何処の国でも凶作だったはずなのですが、ガリアは夏以降に打った策が効いて来るのは間違いない為に、贅沢を言わなければ、この冬を越すだけの十分な糧食を得る事は可能な計算が立っています。
何故ならば、ジャガイモとは、二カ月から三カ月有れば収穫可能な植物です。
まして、このガリアには八月の間に、俺やタバサ達が実験農場でカンヅメに成って促成栽培を行った分のジャガイモも存在して居ますから。
おそらく、アルビオンはこの冬を越す食糧を得る為には、ガリアから食糧を買い付けるしか方法がないはずですし、トリステインも、そう状況は変わらないと思います。
まして、この世界にはジャガイモが存在しない為に、ゲルマニアは食糧に関しては輸入超過の国となって居るらしいです。
そして、戦に参戦する貴族に取って非常に重要な治療用の水の秘薬も、既にトリステインに対して供給されるルートは断たれて居り、闇ルートに出回っていた分の供給ルートも粗方ガリアの北花壇騎士団所属の騎士たちが潰したようです。
更に、元々出回っていた水の秘薬の多くは、ガリアが買い占めていたようですから。
少なくとも、今度のトリステインとアルビオン間に起きて居る戦争が、更に大きく広がってこのハルケギニア全土を巻き込む戦に発展しない限り、ガリアに関しては戦時特需に沸く可能性が大いに有りと言う事ですか。
あのデコ姫の父親ですから、ガリアのジョゼフ王と言う人間も一筋縄で行くような人間ではない、と言う事なのでしょうね。
それまで、湖の乙女の歩む速度に合わせてゆっくりと歩を進めて来た俺が、突然、立ち止まった。
その俺の立ち止まった正面。其処には、霧の中に浮かぶ巨大な倉庫が存在して居り、後は、この周囲の人目に付かない場所で土地神を召喚すれば、今回の任務の大部分が終了する。そう成る可能性が高いと思って居ますから。
そう、俺が考えた瞬間。
肌に触れていた大気の冷やかさが、一瞬、はっきりとした害意を感じさせる冷気へと変貌したような気がしたのですが……。
但し、俺と、そして、湖の乙女にも同じような緊張を強いたその感覚は、それ以上、進む事もなく、
俺と、湖の乙女。二人分の存在感と深い霧。
そして、静寂のみが支配する世界が続くだけでした……。
☆★☆★☆
海から上がって来た乳白色の深い帳が世界を支配し、
活性化した風と水の精霊たちが放つ、淡い燐光にも似た蒼白き光で俺をぼぉっと浮かび上がらせて居た。
そして、その世界の中をゆっくりと浸透して行く、笛の音。
霧はあまりにも白く、濃く。周囲を囲んでいるはずの煉瓦造りの倉庫すらも、果たして其処に存在しているのか。それすらも、定かではない空間。
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