第5章 契約
第62話 海軍食の基本と言えば?
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ーライスを食べている湖の乙女に対して、そう問い掛ける俺。
そんな俺を、一瞬、正面から見据えて、小さく首肯く湖の乙女。
何故か、その瞬間に発する、微かな既視感。まるで、今まで何度も同じような事を繰り返した事が有るような……。
いや、タバサ相手なら、こんな事は日常茶飯事でしたか。
「風石と言うのは、飛行戦艦などの燃料となる風の精霊の力が籠められた魔法のアイテム、……だと言うのは知って居る。そうすると、横流しにされた物資の中に有る火石と言うのは、炎の精霊の力が籠められた魔法のアイテムと言う事なのか?」
心の何処かから湧き上がって来る違和感。いや、既視感について無理矢理納得させた俺が、湖の乙女に対して今一番、判らない事に付いての問い掛けを行う。
そう。この既視感は、おそらく俺ではない誰かの記憶に由来する物。今は、そんな物に支配されている時間は有りませんから。
俺の問い掛けに対して、一度、食事の手を止めた湖の乙女が静かに首肯いた。
そして、
「火石とは、炎の精霊の力が籠められた魔法石」
普段通り。そう、まるで傍にタバサが存在して居るかのような、普段通りの雰囲気で俺の問いに対して答えを返してくれる湖の乙女。
そして、更に続けて、
「通常、火石と言うアイテムは、其処に籠められた熱や光を少しずつ取り出す事に因って、暖房や照明などに用いられる」
成るほど。俺がサラマンダーを召喚するように、火石は使用する魔法のアイテムだと言う事ですか。
但し……。
「通常と言う事は、通常ではない使い方も有ると言う事なのか?」
先ほどの湖の乙女の言葉の中に穏当ではない部分を感じ取った俺が、更に問い掛けた。
そう。コルベール先生では有りませんが、先ほど上げたのは、火の平和的な利用方法の典型的な例。
ならば、それ以外の火の使い方。攻撃や破壊に使用される火の使い方と言う物も……。
普段のタバサの部屋に比べると、少し昏い室内光が、湖の乙女に微妙な陰影を作った。
そして、ゆっくりと、しかし、確実に首肯いた後、
「火石も。風石も。そして、水石や土石も同じ。其処に溜めこまれたすべての精霊力を一気に爆発させれば、どの精霊石でも攻撃に転用出来る」
……と、そう答えた。
その言葉の響きの中には、非難する雰囲気を感じさせる訳でもなく、ただ、淡々と、事実だけを積み重ねて行くかのように……。
成るほどね。結局、どのような物でも使い方次第で善にも、そして、悪にでも成ると言う事ですか。
核と同じような代物だと思えば問題ないでしょう。
もっとも、核には別の物。放射能のような厄介な副産物が有るから、それに比べると、もう少しマシな代物だとは思うのですが。
それならば、次は
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