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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
常識の埒外に生きる少女
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方が見えていたのは私だけですけどね、当然声も私しか聞こえません。それでも叔父は信心深い方でしたから、現状を憂いた叔父は自ら行動を起こしたのです。お二方の思惑通りに事は運んだということです」
幼い頃から各地を転々とする。
家庭の事情の中でもマイナーな部類に入るが、まさかそれを身近の人物が体験していたとは。
「当然ですが、学校には通っていました。転校ばかりでしたけどね。長くて一年、そうでなければ半年かそこらがベターでした。友達ができてもすぐに疎遠になって、すぐに記憶から消えてしまう。私も、相手も。いたのかそうでないのかさえわからない、おぼろげな存在として扱われる。もう慣れましたけど、最初は苦痛でしかなかったですよ。いっそ、友達なんか作らない方が幸せなんじゃないかって考えた時期もありました」
聞いていて痛々しい独白を静かに聞き続ける。
私が何か言葉を掛けたところで、それが彼女の救いになるとは思えない。
今できることは、彼女が吐き出す痛みを聞き入れることだけ。
「私が風祝という一般人から遠い職に学生ながらも就いていたことも、友人を得ることを阻害する要因になっていたのかもしれません。珍しがるのは最初だけ、元より布教目的での転校ということもあり、そちらを優先していたせいで付き合いも悪かったですしね。当然ですよ」
一呼吸置き、暗い表情から一転、笑顔を咲かせる。
無理をしているそれではなく、心からのものだとすぐに理解できた。
「そんな私ですが、たった二回でしたけど青春らしいことを謳歌できたんです。一度目は、布教をしていたときに私の行動に興味を持った二人組の女性との付き合いでした。霊能関係のサークルをやっていたらしく、神という存在を説いている私に興味を持ったらしく、そこから色々とお話をすることになりました。普通の人なら鼻で嗤う、神の存在の有無にも喜んで食いついてきました。霊能サークルというオカルトに興味があるからこそだったんでしょうけど、それでも楽しかったんです。話していることは一般的じゃなかったけど、初めて学生らしい生き方が出来た時間でした」
懐かしむように言葉を噛み締めながら、天を仰ぐ。
その横顔は儚げながら、決して芯は細くない。
余程その霊能サークルの女性達が救いになったのだろう。
私の不安は徒労だったのだ。
だが、良い徒労だ。
「あと、幻想郷に来る前に来ていた場所で、一人の男性と会ったんです。相も変わらず布教をしていたら、ガラの悪い男性複数にナンパされたんです。その時に助けてもらったのが、その人です。周囲の誰しもが遠巻きに我関せずを貫いていた中、彼だけは何の躊躇いもなく手をさしのべてくれました」
貧困の中与えられたパンが三大珍味と同等の価値に映るように、絶望から急激に希望が見えたとき、彼女はどんな感
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