第3話 第二次レンスプルト星域会戦
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た安易に決断できるものではなかった。
そもそもこの戦い自体が、ロアキアの沽券を保つために行われた戦闘である。
ここで引けばロアキアの威信が失墜するのは目に見えていた。
軍事的な理由ではなく、政治的な理由で軍事行動が制限される。
やり難いことこの上ない。
この時、オリアスは思考に耽っており一時的に戦況を把握していなかった。
そのため、ロイエンタール艦隊の一部が前進と後退を繰り返すという奇妙な動きをしていることに気づくことができないでいた。
このロイエンタール艦隊の動きに釣られ前進してしまったのは、オリアス艦隊の先鋒であるミューリッツ少将の分艦隊である。
「青二才に用兵のなんたるかを教えてやるとしよう。ファイエル!」
ロイエンタール艦隊は、ミューリッツの部隊を火線の中心圏に引きずり込み至近距離からビームとミサイルを浴びせかけた。
「反撃しつつ後退!」
「ダメです! 退路を断たれました!」
ミューリッツが反撃と交代を交互に行うつど、ロイエンタール艦隊は先手を打ち、強かに損害を与えていった。
「ミューリッツ提督の部隊が!」
「これは……全艦前進してミューリッツを救い出せ!」
オリアスはすぐに救出の命令を下す。
「オリアスの本隊が出てきたか、ここまでのようだな。いったん後退せよ」
オリアスの本隊が出てきたことで、無意味な出血を嫌ったロイエンタールは艦隊をいったん引いて陣形を整えさせる。
この短期間の攻防で、3000隻だったミューリッツ分艦隊はその数を600隻にまで減らしていた。
「(この私としたことが、このようなミスをするとは……)全軍後退、撤退する」
ここに至って、オリアスは撤退を決断した。
元々、迷っていたところにこの損害……撤退を決意させるには十分であった。
ロアキア軍は戦場から撤退し、帝国軍も無用な追撃は行わなかった。
戦況は帝国軍に有利だったとはいえ、ロアキア軍は余力を持って撤退するのである。
地の理が向こうにあることも考えると追撃のリスクは大き過ぎた。
こうして、第二次レンスプルト星域会戦は終結した。
帝国軍の損失艦艇4200隻。
ロアキア軍の損失艦艇9700隻。
戦術・戦略的に銀河帝国軍の勝利であった。
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