第75話 邪悪なる光、打ち砕け!偉大な勇者よ
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Zを大空へと飛ばす翼はそれ単体でも武器となる。鋭い翼を用いれば敵を切断する事が可能なのだ。
金属音が響いた。
それと共にスクランダーのぶつかった箇所を軸にしてZが空中でバランスを崩して落下してしまう。
何て堅いんだ。ぶつかった甲児の感想はそれであった。
幸いスクランダーは破壊されていない。装甲が多少削れた程度の事だろう。だが、それよりも妙に思ったのは先ほどの金属音だ。
奴の体は一体何で作られていると言うんだ?
全身光のバリアで象られていると言うのならぶつかる事なくすり抜けるはずだ。
もし生物だとしてもあんな金属音は発せられない筈。
もしかしたらあの怪物の中に何かあるのか?
その疑念はそのまま甲児の動きを鈍らせた。それが結果として隙を生む事となってしまった。
四方から突如チェーンが放たれ、Zの手足を拘束していく。
「しまった!」
完全に失態であった。周囲を見渡すと何時出撃したのか、四体の未確認の怪獣が姿を現していた。
どうやらベガ獣のようだ。
四体ともゴリラを連想させる姿をした怪獣だ。その怪獣の太い両腕にはZの手足を拘束させている野太いチェーンが持たれている。
手足を引っ張ってみたが、思っていた以上にそのチェーンは堅く、引き千切ることが出来ない。完全に動きを封じられてしまった。
「だ、駄目だ! 身動きが取れない!」
「甲児さん、前!」
「!!」
なのはの言葉に甲児は前を向き、驚愕した。目の前には先ほどの怪物が不気味な笑みを浮かべて目の前に居たのだ。
悪魔を思わせる輪郭を目一杯に浮かべてこちらを見ている。
化け物の口が光沢を帯び始めている。Zの頭部へ向けて先ほどの光の矢を放つつもりのようだ。
身動きが取れない以上避ける手段がない。手詰まり状態であった。
「くそっ、こうなったら――」
「甲児さん、まさか自爆するつもりじゃ?」
「お前は早く此処から脱出しろ! 下は海だから何とか助かるだろ」
「嫌です! 甲児さんを残して私だけ逃げるなんて嫌です!」
甲児の言い分になのはは頑として首を縦に振らなかった。
だが、このままでは共倒れだ。目の前には怪物が今にも光の矢を発射しようとしているのだ。
「良いから行け! 俺の事は構うな」
「嫌、絶対に嫌だ!」
「くそっ、頼むから言う事聞いてくれよ! お前まで犬死するこたぁねぇのによぉ!」
甲児の声が震えていた。悔しさに涙を流していたのだ。
勢い良く飛び出したは良いが、結局此処で力尽きる事となってしまった事実に悔しさが全身に滲み出てきたのだ。
もう敵は猶予などない。後2〜3秒したら光の矢がパイルダーに直撃し、Zの頭部は粉々にされてしまうだろう。
刹那、何かが飛んできた。円を描く動きで飛来したそれはZの両手足を拘束していた
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