第五十三話 油断したせいで貫かれたぜ……
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ローブの人物の声が耳に届き、その方向を見る。
ブシュッ!!!
闘悟は目を見張る。
そして、自分の胸に感じる激痛に顔を歪める。
「ぐうっ!?」
闘悟は自分の胸を見る。
そこには、粘々(ねばねば)とした液体を滴(したた)り落とす細長いものが畝(うね)っている。
闘悟は後ろに寝ているはずのガルーダに視線を送る。
ガルーダは口を開いている。
その中から長い舌が飛び出て、自分の胸を貫いていた。
舌の先が鋭く槍のようになっている。
いてて……なるほどな。
こいつは舌だったのか。
自身を貫いているものを判別した。
舌は素早く引き抜かれて、ガルーダは再び空に上がる。
闘悟は胸を押さえ、膝をつく。
ガルーダは好機とみたのか、また羽毛を飛ばしてくる。
このままでは闘悟はサボテンのようになってしまう。
しかしその時、大きな火の塊が羽毛を燃え散らす。
「ああもう! だから逃げるべきだったのよ!」
闘悟の近くまで来たローブの人物は、もう一度構える。
「火の中の火。赤より出でし赤。その美しく燃えたもう大いなる力を示し、全てを焼き払う煉獄(れんごく)となれ! 地界(ちかい)の底から訪(おとず)れ出でよ!」
かなりの魔力が広範囲に行き渡る。
そして、カッと目を見開き叫ぶ。
『十柱の劫火(テンスイラプション)』っっっ!!!」
いきなり地面に亀裂が走り、その中から火柱が勢いよく現れる。
合わせて十本の火柱がガルーダを襲う。
ガルーダは身を翻(ひるがえ)し避けるが、避けた所からまた新たな火柱に襲われる。
羽毛を散らせながら必死に逃げ惑うが、幾つかは命中し、羽を焦がす。
奇声を上げながらガルーダは、たまらず上空へと避難する。
「す、すげえな……」
闘悟は素直に感動した。
これだけの火属性の魔法は見たことが無い。
巻き込まれた岩が瞬時に溶けてなくなっている。
火力も申し分ない。
恐らく、これが上級の属性魔法なのだろう。
とてもではないが、中級とは思えない。
だが、ガルーダにはあまり効いてはいなかったようだ。
恐らく火に耐性があるようだ。
というより、火に油を注いだようで、怒りに身体を震わせている。
「や、やっぱり効かないのね……」
ローブの人物が残念そうに呟く。
ガルーダは口を開いて、魔力を集中し始めた。
ん? 魔力?
闘悟はそれを敏感に感じ取る。
同じように感じたローブの人物が叫ぶ。
「こ、これはまずいわ……っ!?」
すると、今度はガルーダの口から猛火が放射される。
先程の火柱と、同等
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