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トーゴの異世界無双
第五十三話 油断したせいで貫かれたぜ……
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されないように、両手で押さえる。
 気づいた時、隣にいた闘悟はもういなかった。


「え? ど、どこに?」


 キョロキョロすると、闘悟はガルーダに向かって走っていた。
 ガルーダはその赤い羽毛を手裏剣のように飛ばしてくる。


「かなりの数だな」


 まるで千本の弓矢が飛んできているようだ。
 闘悟はさっそく魔力を体に宿す。


「えっ!?」


 そんな声を出したのはローブの人物だ。
 何故なら、先程感じた魔力と同じ性質だったからだ。


(う、嘘……!?)


 闘悟は近くにあった大岩を片手でヒョイッと持ち上げる。
 ちょうど自分が隠れられるほどの大きさだ。
 そして、ガルーダに向かって投げつける。
 飛んでくる羽毛が、大岩に突き刺さる。
 そして、闘悟はその後ろにピタッとくっつくように飛ぶ。
 ザクザクっと地面に突き刺さる羽毛を恐ろしげにローブの人物は見つめる。


(よくもまあ、あんな防ぎ方ができるもんね……それにあの魔力……)


 ガルーダは飛んでくる岩を避けるように上空へ飛ぶ。
 それを予測していたように、闘悟は飛ばした岩の上に乗り、それを踏み台にしてガルーダ目掛けて跳躍する。
 ガルーダは闘悟の行動に驚いたようにギョッとなる。
 闘悟はそのままガルーダの背後に回り、背中に乗る。
 ガルーダは闘悟を振り落とそうとして翼を大きく動かす。


「うおっと! この野郎! だったらこうだ!」


 闘悟は力任せに両翼を閉じる。


「グギャアッ!?」


 闘悟のせいで、翼が動かせなくなる。
 その行動が起こす結果は……墜落である。


 ドゴオォォォッ!!!


 激しい衝撃音とともに砂埃が舞う。
 その光景を、口をあんぐりと開けながらローブの人物はキョトンとしていた。
 目の前で起こっていることが現実だとは思えなかった。
 Aランクであろう魔物と対峙する場合、普通ならAランク以上のギルド登録者達が何人も徒党(ととう)を組んで挑む。
 だがそれでも、撃退できるかどうかは分からない。
 それなのに、たった一人で戦っている。
 その上、苦戦どころか優勢に戦っている。
 そのことが、とてもではないが信じられなかった。


 地面に落ちたガルーダは、大人しくなる。
 闘悟は終わったと思い、ガルーダの背中から降りる。
 体に巡らせていた魔力を抑える。


「何だ、あんま大したことなかったな」


 しかしその時、背後にいるガルーダは、ムクッと起き上がり口を開く。
 闘悟はそれに気づいていない。
 唯一その行動に気づいたのはローブの人物だ。


「あ、危ないっ!!!」
「あ?」



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