第五十二話 は〜い、人外で〜す!
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「な、何っ!?」
ローブの人物は自分が今感じている嘘のような感覚に震えていた。
そして、いつの間にか腰が抜けたように尻餅(しりもち)をついていることにも今気づいた。
(こ、このとてつもない魔力は何……?)
間違いなく自分が向かっている山頂付近から感じる。
全身から汗が噴き出るのを感じた。
魔力を感じているだけで息苦しくなる。
(こんなの……達人級どころの話じゃないわよ……? それこそあの伝説の古龍(こりゅう)……ううん、それ以上かも……? そ、それにまだ上がってる……っ!?)
底が感じられない魔力の高まりに、ローブの人物は恐怖を覚えた。
常人なら、一刻も早くこの場からに逃亡するだろう。
だが、この者のとった行動は、不可解にも歩を進めることだった。
その理由は二つある。
一つは、依頼のため。
自分が受けた依頼は、ここに現れる謎の生物を調査すること。
この魔力の持ち主がそうなら、一目だけでも確認しておかなければと考えた。
もしかしたら、国、いや、世界に悪い影響を及ぼすかもしれないからだ。
もう一つは、この魔力からは、敵意や殺意といった負の感情が伝わってはこないことだった。
それどころか、圧迫感は感じるが、純粋な澄んだ感覚が伝わってくる。
だからこそ、危険度がもしかして低いのではないかと思ったのだ。
もちろん、いきなり襲われる危険もある。
だが、少女の勘が言っている。
この魔力の持ち主は、そういう存在では無いと。
少女は険しい顔つきをしてはいるが、持ち前の好奇心を抑えられずにいた。
見てみたい。
もしかしたら、最大の理由はこの好奇心だったのかもしれない。
「見てやるわ! このステリア・セイン・アーダストリンクの名に懸けてね!」
ステリアといった少女は、自身に気合を入れて山頂へと向かった。
「これでどうだ! 三十パーセントッ!」
すると、闘悟の体が、いや、闘悟を包んでいる魔力が眩(まばゆ)い光を放つ。
そして、光る魔力が闘悟の体に凝縮されていく。
竜巻が一瞬で散開(さんかい)する。
瞬間、本当に瞬間的だが、激しい痛みが体に走り闘悟は意識を飛ばされる。
まるで全身に強烈な電流を流されたようだ。
そして、強制的に意識が覚醒する。
闘悟は静かに目を開ける。
体に感じる清涼感が、生まれ変わった気分を伝えてくれる。
少し分かりやすく言うと、風呂に入ったサッパリ感に近いのかもしれない。
体の中まで、綺麗に洗われたような気分だ。
闘悟は拳を閉じては開くを繰り返す。
肩を回し屈伸(くっしん)する。
「うし、どうや
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