第五十二話 は〜い、人外で〜す!
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ら成功したみてえだな」
闘悟は自分が改変したことを確信する。
「あ、でもこれでホントに人外(じんがい)だなオレ……ま、いいか!」
闘悟は自分の思い通りに事が運んだことに満足していた。
もし、死にたくなったら、また改変して元に戻せばいい。
闘悟は、肉体の時間を自由自在にできることになったことで、神に一歩近づいたのかもしれない。
無論本人は、それほどの大業(おおぎょう)だとは考えてはいない。
「ふひ〜でもやっぱ、さっすがに疲れたよなぁ」
闘悟はその場で座り込む。
今まで疲れとは無縁だった闘悟だが、初めて魔力を三十パーセントも使用したせいで、少しの疲労感を感じた。
「ん〜でも、三十パーセントで不老不死か……全力出したらどんなことができんのかねぇ」
自分の力だが、空恐(そらおそ)ろしいと感じた。
世界崩壊を止めた時でも、まだまだ余裕があったのだ。
闘悟自身が、自分の力に身震いするのも当然なのかもしれない。
「あ〜でもこの後どうすっかなぁ〜」
依頼の巨大生物は見当たらない。
山頂付近に来てはみたが、何故か生物の気配すら感じない。
ここの生物達は、今は自分の巣で丸くなっていることだろう。
闘悟は、その原因が自身の魔力のせいだとは気づいてはいない。
「よっしゃ、もういっちょ探してみっか!」
闘悟はそう言うと、勢いよく立ち上がる。
するとその時、目を閉じさせるほどの強風が吹く。
「伏せなさいっ!」
そんな言葉が耳に入って来た。
闘悟はその言葉に反応して、体を伏せる。
すると、頭の上に何か大きなものが掠(かす)めた。
闘悟は激しい砂埃(すなぼこり)から、抜け出し、態勢を整える。
そして、闘悟の目はある生物を捉えた。
「コ、コイツは!?」
そこにいたのは、巨大な怪鳥(かいちょう)だった。
翼を大きく動かして、周囲に台風並みの風を作る。
体長十メートル以上はあるのかもしれない。
翼を大きく広げればそれ以上の大きさにはなる。
鷹のように鋭い目つきと、綺麗な紅色(べにいろ)の羽毛が、威圧感を確実に増加させている。
さらに額には大きな角も生えている。
この怪鳥が、闘悟の魔力を感じても、逃げ出さなかった生物のうちの一つだ。
だが、ローブの人物と違って、怪鳥が逃げ出さなかった理由は、単なる無知(むち)だということだった。
今まで、その巨体と強さのお蔭で、天敵に巡り会わなかったことで、警戒という概念(がいねん)からは遠い所にいた。
そのせいで、闘悟の魔力が、いかに警戒すべきなのかという感覚を持つことができなかったのだ。
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