第15話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
仰向けに倒れた一夏、見つめる俺、見下すゼロ。誰一人動かず、喋らない。
「一夏、今…!?ゼロ!?」
信じられない光景だった。倒れている一夏を、ゼロが『攻撃』したのだ。
「止めろ…、止めろっ!!」
一夏を庇う。お構い無しに、ゼロは攻撃を続けている。
シールドエネルギーの無い今、その攻撃は無条件でその操者に当たる。俺と一夏の体が、痛め付けられていく。
観客の中にいた篠ノ之達が走っているが、時間がかかる。意識が持ちそうにない。だが、一夏は、一夏だけは!
一夏の体を抱き抱え、体を強張らせる。しかし、攻撃は来なかった。
ハクトがゼロに抱き付いて、止めていたから。
俺が理解できたのはそこまでで、その後は、俺は意識を手放していた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「……くん、…君!弟君!」
誰かの呼び掛けに反応し、目を開けると、泣きそうな顔をした姉が手を握っていた。
「ユリ姉…、一夏は…?」
「弟君!織斑君は隣だよ!」
よく見れば、ここは俺達の部屋。一夏は隣で静かに寝息をたてていた。
「…痛っ…」
「無理しちゃ駄目だよ弟君、重傷なんだから」
起きようとして生じた痛みに顔をしかめ、姉に手助けしてもらってどうにか起きる。
「俺達はどうなったんだ?」
「あの後医務室直行。弟君は、左腕を縫ったんだよ?」
「…、みたいだな」
目覚めてから包帯が巻かれた左腕を見て苦笑する。あの手段を取ったことに微塵も後悔はないが、心配をかけさせてしまった。
その点は重く反省すべきだろう。
「ごめん、心配かけて。今後は控えるよ」
「本当だよ?お姉ちゃん、心臓止まるかと思ったんだから!」
俺の鼻先を指差し、我が姉がたしなめる。今度同じ様なことがあれば、どうなるか想像に難くない。
「じゃあ、私は弟君が起きたことを、皆に知らせてくるから。安静にしてるんだよ?」
ユリ姉は何度もこちらを振り向きながら、出ていった。
一夏はまだ目覚めていないので、一人になる。
同時にのし掛かってくる、負けという現実が。
「畜生…畜生畜生畜生…っ!」
右手で膝を何度も叩く。悔しさが、不甲斐なさが俺を苛む。
「ごめん…、ごめんな一夏…!俺が、俺がもっと動けていたら…っ!」
あの時ああしていれば、こうしていれば、と自身のいたらななさが歯がゆい。
俺達はゼロに負けた。それは、紛れもない事実であり、真実だった。
「う、ううっ…。と、トモ…」
「一夏!?一夏、大丈夫か!」
よろよろと起き上がる一夏を右手で支える。暫く回りを見た一夏は、一言、呟いた。
「……負けたんだな、俺達は」
「ごめんな一夏。俺がもっとしっかりしてたら…」
「そんな事はな
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ