第壱話 《損傷した者》〜後編〜
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
居るはずなんだ。置いて、いけねんだ」
「……………」
キリトは息を詰め、唇を噛み締めた。
その様子を確認し、シキはキリトに話しかけた。
「……俺達は、悪いが行くよ。キリトの提案には乗れない。だって、キリトがベータテスターだろうが、俺達を守り通すのは無理だ。更に増えれば尚更、それは不可能になる。死人が出る可能性だってある」
だから、一緒には行けない。
最後にそう付け足して、シキは二人に背を向けた。シンもそれに付いて行く。
「お、おい。待ってくれ!」
そう呼び止めたのは、クラインだった。
「……何だ?」
「ここで会えたのも何かの縁だろ? フレンド登録しとかねえか? キリトも、いいだろ」
「……分かったよ」
キリトが頷いたのを確認し、二人はクラインとキリトにフレンドの申請を送った。
シンも同様の操作を行なっているのを見て、キリトに話しかけた。
「悪いな。お前の好意を踏みにじるような真似して」
「……気にするなよ。まぁ、シキの気持ちは正直有難いしな」
どこか寂しそうに言って、キリトはシキの目を見つめてきた。
「……それより、線が何なのか、分かったのか?」
「いや、分からない」
「スキル一覧とか、見てみたか?」
ウインドウを呼び出し、スキルのタブを押す。
すると現在習得しているスキルの最上部に何かがあった。
それは《直死の魔眼》と書かれている。
「? どうした?」
「いや、キリト、ちょっとこれを見てくれ」
シキはキリトに見えるように表示を変更し、キリトに近づく。
「…………何だ、これ。……確か、スキル詳細って見れるよな。見てみよう」
キリトがスキル詳細のタブを叩くと、更にウインドウが表示された。
ウインドウに書かれたスキルの詳細には、ただ一文、こうあった。
『あらゆるモノを「殺す」スキル』
「どういう……ことだ……?」
キリトは混乱の極み、とでも言うような表情で言った。
が、シキはすぐにウインドウを消した。
「あ、おいーーーー」
「ちゃんと分かったら今度会った時に伝えるよ。それまで死ぬなよ。じゃあな」
行こうシン、とシキは相方を促し、二人はキリト達とは反対方向の路地へと消えた。
○●◎
……くそ。そういうことか。この線は。
この線全部、殺すためのものだってのか。
…………クソッタレ。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ