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ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第壱話 《損傷した者》〜後編〜
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世界は諸君にとって現実世界と同様だ。……今後、このゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に」
シキは、否恐らくこの場の誰もが予想した答えを、茅場は紡いだ。

「諸君らの脳は、ナーヴギアにより破壊される」

この一言が、このゲーム《ソードアート・オンライン》がデスゲームとなった瞬間だった。
シキはその言葉を聞いた直後、シンとのデュエルでHPが失われた瞬間を幻視した。視界の左上にある青線に焦点を合わせる。そこには、143\342という数字が表示されていた。
「……馬鹿馬鹿しい」
キリトが低く呻いた。
キリトのそんな反応など知ったことではない、とでも言うように茅場は続ける。
「諸君がこのゲームから開放される条件は一つのみ。アインクラッド最上層、第百層にいる最終ボスの撃破。これのみだ」
しん、と一万のプレイヤー全員が沈黙した。
「百層だとぉ……!? できるわきゃねえだろ! ベータじゃろくに上れなかったって聞いたぞ!?」
赤髪の青年は喚き、右拳を空に突き上げた。
張り詰めた静寂が段々低いどよめきに支配されていく。
乾いた空気が湿った風を運んでくるような、そんな得体の知れない感覚がシキの脳内を埋める。
だが。
「(生憎と、俺はしぶといんでね。茅場晶彦、アンタに吠え面かかすまで俺は死なんぞ……!)」
シキに混乱は無かった。
不敵な笑みを浮かべ、紅ローブを睨み付けると茅場は感情の無い声で言った。
「それでは、諸君にとってここが唯一の現実であることを示そう。……アイテムストレージに、私からプレゼントを用意した。確認してくれ給え」
それを聞くとほぼ同時、シキはウインドウを呼び出した。周囲のプレイヤーも同様の行動を起こす。
出現したメインメニューからアイテム欄に移行し、所持品リストの一番上にそれがあった。
《手鏡》。
それがプレゼントらしかった。
疑問に思いながらも、シキは手鏡をオブジェクト化させた。キラキラという効果音と共に小さな四角い鏡が出現する。
手に取っても何も起こらず、覗きこんでも現実の顔と少し違うシキの顔が映るだけだ。
と、変化はいきなり始まった。
突然周りのプレイヤーが白い光に包まれたのだ。一拍遅れてシキの身体も光に包み込まれた。
ほんの二、三秒で光は収まった。
だが。
周りのプレイヤー達に変化が生じていた。
例えばキリトは線の細い顔の少年に成っていたし、赤髪の青年はどこか野武士にも似た顔へと変化していた。
シキやシンだって、細部まで現実の顔に変わっていた。
しかしシキ、そしてシンもそれだけの変化では無かった。
「うああぁっ……!」
いきなりシキの頭に鋭い痛みが走った。
「お、おい、あんた。大丈夫か!?」
キリトに似
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