第一物語・後半-日来独立編-
第三十一章 辰の地、戦火は走る《2》
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渡り合える。
身近にあるものだが、まともな戦場ではまずお目にかかれない光景だ。
「鉄パイプを敵に打ち付けるこちらは、部外者から見たら何処ぞの不良かと思うな」
「まともな武器が無いのなら仕方ありませんわ。――ロロ犬シールド!」
「のわ!? いきなり何するんですか。てか、目の間に弾丸の群れが! 死にたくないので防御盾――!」
敵の後方から来た無数の弾の群れ。
前方にいた辰ノ大花の列が二つ分かれるように割け、間から一斉に撃ってきた。
制服の襟を掴まれ、宙に浮くロロアはとっさの判断で長方形の防御盾を横一列に展開させ皆を守る。
「喋っていてよく間に合いましたわね」
彼女の防御センスに、時々関心を覚える。
弾は防御盾に当たるが貫くことはなく、弾かれもせずに失速し、勢いを無くした弾は地面に落ちる。
防御盾は弾の当たったところが衝撃で波紋が広がっているが、無傷のまま持ち堪えていた。
「この防御盾を普通の防御盾と思わないでください。緩和系加護が施され、大砲の弾だって防げてしまうんですから」
「さすがはロロ犬シールド。他とは訳が違いましわね」
「もっと褒めてください、久しぶりに褒められましたからね!」
「ロロ犬シールドに敵うものはいない、と言ったところか」
「向かうところ敵無しですかね」
「自分の名前入ってる技、格好いいナ。必殺! ロロ犬シールドッ!」
「てか、さっきから言ってるロロ犬シールドってなんですか!? 勝手に人の系術に名前付けないでくださいよっ!」
ツッコんだ声に反応するように、敵側に動きがあった。
「奴らを図に乗らせるな! 行けえ、行けえ――!」
「「おお――!!」」
黄森、辰ノ大花は声を合わせ、日来の進行を食い止める。
それは何処も同じで、若干日来勢が押しつつも物量の違いですぐに黄森、辰ノ大花勢が押して返してくる。
しかし、負けていられないと日来勢が更なる力で押し戻す。
この状況が続き、学勢や社交員の数などで上回っている黄森、辰ノ大花が守り切れていない。
これを見かねた辰ノ大花の宇天学勢院覇王会戦術師、棚部・御茶丸が動き出した。
●
西貿易区域を離れた町から見る御茶丸は眼鏡越しに目を凝らしながら、戦況を遠目に伺っていた。
彼がいる町は今、戦闘をしている西貿易区域周辺に住んでいた住民の避難先であり、遠くから戦場の音が風に乗って聞こえてくる。
戦場となった町に設置してある監視用映画面|《モニター》が撮す映像を、自身が表示した映画面に映しそこから情報を得て戦術を練る。
「黄森と辰ノ大花との陣形が上手くいってませんね。そのため、あいつら最悪だよ、と感じてしまっており仲間割れの逆効果です」
「立て直せるの?」
彼の後ろに立つ束・明子は問う。
「無理ですね。まず辰ノ大
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