第一物語・後半-日来独立編-
第三十一章 辰の地、戦火は走る《2》
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うするように、こちらが立ち回っているため当然だ。
「目の前に結界があると言うのに届きませんわ。全く、面倒ですわね」
「敵も馬鹿ではないからな。結界の自壊を恐れ周辺の警備は固くしてあるようだな」
「なら崩すだけヨ」
小柄な身体を精一杯動かし、敵の群れに飛び込む空子によって一つの陣形は内部から崩壊した。
後方宙返りを入れて、後退して来て敵からの反撃を阻止する。
誰もがその身のこなしには関心を抱き、その一人としてネフィアがそれを言葉にする。
「獣人族ではないのに、よくそんなに動けるものですわね」
「小さい頃、よく鍛えられたからナ」
「空子は中西武国の出だからな。世界の軍力で一、二を争う国だけあって実力はなかなかのものだな」
「真ノ自由独逸|《エヒトフライハイト・ドイツ》出身の二人とウチ合わせたら最強ダ」
今度はルヴォルフが別の陣形へと突っ込み、一撃を与え即座に退く。
長居すれば辰ノ大花の者達に包囲されお仕舞い、更に後方にいる長銃のいい的になるからだ。
この陣形の対処法は前方に射撃を防ぐ防御盾を置き、機会を伺い防御盾から出て攻撃し退く。それを繰り返しながら、結界へ近付くのが今のところ確実だ。
「後方に敵を確認。回り込まれてますよお」
味方の群れから小柄なロロアが隙間を縫うように、身体をくねらせながら前線へ来た。
戦闘だというのにぶかぶかの制服は相変わらずで、地に付く制服が味方に踏まれコケそうになったり、前に進めなかったりしている。
「なんですか! その呆れたような視線は!」
「その格好でよく来たものだな」
「だって皆さんも制服じゃないですか」
「わたくしや他数名は戦闘服を着てますけど。ルヴォルフは制服を戦闘服として作っていますし、それに皆様、ロロアのようにぶかぶかではありませんし」
「大丈夫ダ。ロロアは防御専門だからナ、動くこと少ないかラ」
「どうですか、それを分かって制服のまま来たんですよっ!」
「はあ、そういうことにしておこう」
戦闘経験の無いロロアにこれ以上言っても無駄だと感じ、無い胸を張る彼女にルヴォルフは根負けした。
後ろを見ればロロア言っていたように敵が回り込んでいたが、正面と比べれば数はそれ程多くはない。的確に対処しておけば痛手を貰うことはないだろう。
「二年生は後ろの敵を頼むぞ」
「「了解!」」
先輩の指示に後輩は背後にいる敵と交戦し、囲まれないように負けじと攻める。
一年しか違わないが、彼らもなかなか腕が立つ。
日来は武装禁止だったため、こちらには戦闘道具は無い。が、武器ならある。
機械部から配給された鉄パイプだ。
長さや重さ、太さが一つ一つ違うため自分の手に馴染むものを皆、持っている。
分類上、打撃武器となり軽くスイングしただけでも武装した敵に以外と
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