第五話 Community (前編)
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それは、銀行強盗事件が無事に終息して数日後の事。
「灯影……、お前、何やってんだ?」
「…………」
そんな担任の一言から、灯影月日の一日が始まった。
………
……………
…………………
事は月日がド派手な花火を打ち上げた場面まで遡る。
目の前で起きた出来事に広場が静まり返る。それを見た頭に花を咲かせた少女が「すごい……」と呟いたのを月日は覚えている。いつもの調子なら「DARO!」と見ず知らずの少女にも言っているところだが、彼にはまだやるべき事があったためその場を離れた。
向かったのは、後方でアスファルトに突き刺さった状態で停止した逃走用の車。クルクル回る後輪が強盗達を「ざまぁww」と嘲笑っている様に、その時の月日は感じたと言う。
「う、う〜ぅぅ………」
無様な呻き声を上げて伸びている強盗犯。学園都市製のエアバッグのお陰か大きな外傷も見られない。
普通ならば後は風紀委員(ジャッジメント)と警備員(アンチスキル)の領分だが、
「おい、生きてるか?」
月日はどこか冷めた様な口ぶりで伸びた男に話しかけていた。
当然男からの返答はない。
「………」
それを確認した月日は収めたリボルバーを引き抜き、
―――――パリィィィッ!
銃身を掴んで運転席側の窓をグリップ部分で叩き割った。
そして車内に腕を突っ込んで男を強引に車外へ引きずり降ろした。
「がはぁっ……!」
背中からアスファルトに叩き付けられた事で男は意識を取り戻す。
「生きてるな?」
そう問いかける月日。「テ、テメェは―――」と慌てて起き上がろうとする男だったが、
―――ガチャン!!
月日の持つリボルバーの銃口を額に当てられた途端、金縛りの如く動けなくなってしまった。
無理もない。その銃は車を宙に舞い上げるだけの威力を見せ付けたのだから。
脂汗を流す男とは裏腹に月日は涼やかな笑顔を浮かべている。
「ま、殺すつもりは元々なかったし、殺しても組織(こっち)にはマイナスだ。でも、お前さん達は馬鹿をやった。俺でも“見逃せない”程の馬鹿を」
淡々と語る月日の言葉を男が正しく理解しているか、または聞いているかは定かではない……。
だが一つ言える事がある。
「その中でもお前さんは重罪だ」
月日の目と雰囲気が変わったのだ。
「逃走に人質…。挙句少女に足蹴り…。情状酌量の余地すら存在しない」
「――――――」
あまりの眼光に男は言葉を忘れた。ただ陸の魚の様に口をパクパクさせる事しかできずにいる。
そして、月日は刑を言い渡す。
「とりあえず一発くれてやる。自分の犯した罪の重
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