第四章 空白期編
第九十八話 『愛の証明編 ライゼルという男の過去』
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とえまた魔術協会、聖堂教会から追われる羽目になろうとも。
そして戦いは続いていった。
彼は何度も剣を飛ばしてきては僕が打ち返すといった千日手とも言える戦闘を繰り広げた。
左目に傷を負ったがそれほど深い傷でもないから大丈夫だった。
だけどそんな戦いも僕が弾いた一つの剣によって状況が変わってしまった。
その弾いた剣はなんてことか彼女に向かってしまい突き刺さり彼女は地面に倒れた。
すぐに僕は駆け寄り彼女を介抱した。
でももう致命傷の傷で手遅れだと経験で悟ってしまった。
「はぁ…はぁ……ら…ライ…」
「カレン! しっかりして!!」
「もう…いいよ……ライ…ごほっごほっ」
「喋らないで! 絶対助ける! 絶対助けるから!」
すっと彼女が僕の手を握る。
「………カレン?」
「けほっ………私……貴方が好き…」
「っ!!」
「私ね………貴方と会えて……好きになって………ホントに……嬉しかったんだよ…私達…本当なら…出会うはずが……無いのに………コレって………運命なのかな…?」
「カレン…僕だって…!…僕だって君が好きだ!!
あの時、父上と母上、妹のアイリスをこの手で殺してしまったあの時から僕の心は凍り付いていた! 僕の時間は止まっていた!!
……でも、その心を君が溶かしてくれた!……僕にとって君は暖かい太陽だ! だから………カレン…僕を……一人にしないでくれぇ……」
「私…何度…生まれ変わっても……また…好きに…なるよ…何度も……何度も…」
「カレン!」
「……ラ…イ…」
僕は自分の耳を彼女の傍に近づける。
しっかりと聞き届けるために、
「うん!………何!?」
彼女が僕にそっと口づけをして、
「あり…が…とう……だい…すき………」
そのまま息を引き取った。
「か…カレン?……ハ…ハハ…何…眠っているんだ?
この旅行が終わったら一緒に暮らそうって……結婚しようって言ったじゃないか………。
だから……起きてくれよカレン………………カ…レ…か…うっ…うぅっ…うあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!!!」
僕は泣いた。声が枯れるほどに。
そしてその憎悪を目の前で挙動不審に陥っている衛宮士郎に向けた。
おそらく聞かされた情報はウソだったのだろうと気づいたのだろう。
でも関係なかった。
もう僕は狂気を解き放ち殺人衝動のままに衛宮士郎を殺そうとした。
彼の命を絶つ瞬間に、
「すま、なかった…」
という言葉が聞けたがそんなものは所詮その場限りのものだと下し首を切り裂き絶命させた。
今思えば彼も踊らされていた犠牲者の一人だったのだろう。
でももう手遅れだった。
狂気に身を落とし復讐し終えた僕に残ったのは守れなかった想いと、狂気に染まった想いだった。
そして僕は
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