第118話 劉協の複雑な想い 前編
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は些か誇大でございます」
「謙遜するでない。宮廷でお前達のことは英明な宗室姉弟で通っている」
劉協は年相応の楽しそうな笑みを浮かべて言いました。
「私達のことはそのように思われているのですか」
私は初めて知ったように装いました。
この辺りは史実通りなのだなと思いました。
しかし、少し気になるのが劉協が私に馴れ馴れしい点です。
私は懐かれています?
嫌嫌、それはない。
「ところで殿下が私をお召しになった理由をお聞かせ願えませんか?」
私は劉協との話を本題に持っていくことにしました。
「ない」
「は?」
私は素っ頓狂な声を出しました。
「特にない。お前と一度話して見たかっただけだ。悪いか」
劉協は機嫌悪そうに言いました。
「いいえ、悪くはありません。急なお召しでしたので何かご用かと思っただけでございます」
「そうか。それは悪かったな」
劉協は快活に答えました。
「お前は何進とも仲が良いと聞く、何進とはどのような者だ」
「何進様は好人物な方だと思います」
「ほうそうなのか。兄も何進のことを『優しい人』と言っておったが余には少々冷たい感じのする者だと思っておった」
劉協は私の話を興味深そうに頷いていた。
「私が嘘を申しているかもしれませんが」
「そうなのか?」
「もしもということがあります。人は立場によって言葉を替える生き物です」
「ふふ、そのようなことを分かっておる。しかし、お前の忠言有り難く受けよう」
劉協は嬉しそうな表情で私に答えました。
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