第118話 劉協の複雑な想い 前編
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る存在が近親者に居ない以上、彼女が制御できない人物だと不味いわけです」
揚羽は真剣な表情で俺に顔を近づけて小さい声で呟きました。
「協皇子に私が制御できない、もしくは信用のできない人物と思われれば良いわけか?」
「信用できない人物と決めつけられるのは得策ではありません。つかみ所のない人物と思われれば重畳です。現在の協皇子のご心境を察するに不安で一杯だと思います。だからこそ協皇子は行動一つ取るにしても慎重なはずです。正宗様は彼女に同情し胸襟を開き言葉を交わすことをしなけばいいのです。わかりましたか?」
揚羽は顔を近づけたまま突然厳しい表情をして言いいました。
「分かった」
私は揚羽の表情に気圧され返事をしました。
「心配ですね。決して協皇子に心許さないように」
私の様子を見て、揚羽は嘆息しました。
「大丈夫だ。上手くやる」
「手を出してください」
揚羽は私の言葉を無視して手を出すように促すと私の手を掴み裾を上げ懐から出した筆で何やら文字を書き出した。
「うっ。揚羽、何をするんだ」
「『協皇子に心許さぬように』と書きました。宮殿で協皇子と対面中に彼女に心許すような事態に陥ったときはこの手の文字を思い出してください」
「此処までしなくてもいいんじゃないか?」
「正宗、ご自信がありますか?」
「・・・・・・ない。揚羽、分かった」
揚羽の懸念が想像できたので揚羽の心遣いを受けました。
「もし、協皇子の信頼を得た場合、私はどうなる」
揚羽に私は疑問を打つけてみました。
「正宗様の知識を元に推測するならば董卓の立ち位置になりましょう」
「私が董卓となり諸候の攻撃を受けることになるのか?」
「いえ、正宗様が相国となれば反劉ヨウ連合は起こりえず漢は延命するでしょうが、貴方様の死後は乱が置き漢の命脈は尽きるでしょう」
「何故、私が劉協の後ろ盾になれば反董卓連合のような結果にならない」
「正宗様のお血筋と貴方様をお支えする強固な閨閥があるからです。貴方様は恐れ多くも光武帝のお血筋からは遠縁といえ、高祖のお血筋であり遡れば斉王の末裔であられます。そして、貴方様は北方にて黄巾の乱、異民族の平定を無し北方をつつがなく治めておられます。また、貴方様の閨閥は三公を排出した袁家、周家、地方豪族の名門である我が司馬家です。仮に貴方様が相国の地位に着いた場合、多少の反乱分子が出ましょうが鎮圧できない事態にならないでしょう」
揚羽は私の顔を見て自信に満ちた表情で応えました。
「それを利用して新たな漢を起こすことはできないのか?」
私は揚羽に尋ねました。
戦を起こさずとも漢を抑えることができるのなら其れにこしたことはないです。
「駄目です。正宗様が相国となれば漢に内在する問題を全て取り
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