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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第四話  誓い
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た士郎の魔術では、唯の平民とそう変わらない気がするのに……シロウはサラマンダーを易易と倒した……士郎は何かを隠している?

 ルイズは周りを見回している士郎を横目で見ながら考える。

 それにあの時、サラマンダーのお腹に乗っていた士郎が持っていた剣……一体いつのまに取り出したの? そのまま食堂に行ったのに、あの剣は今は持っていない……。

 ルイズは、意を決して士郎を問い詰めようとした瞬間、教室のドアが開き中から中年の女性が入ってきた。
 女性は紫色のローブに背の高い帽子という、いかにも魔法使いといった格好で、ふくよかな頬が優しい雰囲気を漂わせている。
 女性は教室を見回すと、にっこりと微笑んで言った。

「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、さまざまな使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」

 シュヴルーズはルイズの後ろに立つ士郎を見ると、ルイズに話しかけた。 

「特に、あなたは変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」

 シュヴルーズが士郎を見てとぼけた声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。

「おいおい平民を召喚するなんて流石だなルイズッ!」
「まさかとは思うが召喚できなかったからって雇ったわけじゃないよなっ」
「“ゼロのルイズ”! 召喚したのは死体じゃなかっ―――」

 ―――ドンッ!!

 馬鹿にした言葉に、ルイズがぎりっと歯を鳴らして立ち上がろうとした瞬間―――教室に轟音が鳴り響いた。突然の轟音にルイズを揶揄う声を上げていた生徒たちは、びくりと身体を震わせると慌てて発生源である教室の後ろに顔を向け。

「「「―――ッ」」」

 息を呑んだ。
 教室の後ろ。石造りの壁の一部が陥没しており、そこを中心に壁一面に蜘蛛の巣状の罅が広がっていた。だが、生徒たちの視線はその今にも崩れそうな壁ではなく、その壁の前に立つ男―――士郎に向けられていた。
 魔法を教える学校である魔法学院では、魔法の失敗で最低限教室が壊れないように、椅子や机等は別であるが、壁などには“固定化”の魔法が掛けられている。そのため、ちょっとやそっとの魔法では、直撃を受けたとしても壁が壊れる事は滅多にない―――筈であるのだが。その壁が今、無残な姿を晒していた。
 青い顔をした生徒たちの視線が向けられる中、士郎は手についた砂埃を叩いて払い顔を上げると、ぐるりと教室を見回し困ったような笑みを浮かべた。

「すまない。耳元を飛んでいた虫が五月蝿くてな……つい手が出てしまった」

 すまなそうに頭に手を置いた士郎は、先程ルイズを馬鹿にしていた生徒にちらりと視線を向けると、スゥっと目を細めた。

「―――騒がしいのは嫌いなんでな。ああ、
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