第一章 土くれのフーケ
第四話 誓い
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…」
とうとう膝を石畳につけ顔を伏せながらも自白を続ける。
「トリステイン魔法学院に入学してからも、一度たりとも魔法は成功しない」
そこまで言うと、ルイズは伏せていた顔を上げ士郎を見た。
「だから私は“ゼロ”なの……魔法が使えない……“ゼロのルイズ”……」
そう言うとルイズは再び顔を伏せた。
顔を伏せ、小さな体を震わせるその姿は、まるで迷子の子供のようであった。
ルイズが冷たい石畳に座り込み、嗚咽を押し殺していると、体を熱く力強いものに抱きしめられた。
「ルイズ、それは違う。お前はゼロじゃない」
優しく語りかけてくる、その言葉にルイズは顔を上げると、そこには優しく笑う士郎の姿があった。
「ルイズは全ての魔法を失敗してはいないからな」
ルイズは溢れ出る涙に潤んだ、鳶色の瞳を士郎に向け聞いた。
「失敗して……いない……?」
初めて耳にする言葉のように、ぽかんとした表情を浮かべるルイズに向かって士郎は頷く。優しくルイズの頬を両手で包み込み、親指で涙を拭ってやりながら答えた。
「ああ、そうだ。 何故なら俺がいるだろ……ルイズの魔法、サモン・サーヴァントで呼び出され契約した俺が……ここにいるだろ」
ルイズは、自分の頬を包む士郎の手を、頬と手で挟み込むようにしながら思った。
―――ああ、ああ。そうだった。私は成功していたんだった……シロウを、召喚していたんだった。
士郎はルイズと見つめ合いながら伝える。
「だからルイズ。お前はゼロじゃ無い」
そんな士郎の力強い言葉を受けたルイズは、今の今まで押し殺していた悲しみを、士郎にぶつけながら抱きついた。
「しっ、シロウッ! シロウッ、シロウッ! わたしっ、わたしぃっ」
ルイズは士郎の名前を呼びながら、言葉にならない声を上げ泣き出した。
それはまるで、ようやっと出会えた親に迷子の子供が泣きついているかのような光景であった。
日が沈み、教室の窓から夕焼けの赤が教室を染め上げる中、ルイズはバツの悪そうな顔を真っ赤にさせて、赤く充血した目を士郎から逸らしていた。恥ずかしげに顔を逸らすルイズに、士郎は口元を小さく緩めると、何気ない様子で告げた。
「ちょうどいい機会だ……ルイズ、誓約を交わさないか」
士郎の言葉に、ルイズは慌てた様子で逸らしていた顔を前に戻す。
「せっ。誓約って?」
「昔、な。とあるサーヴァントと交わした誓約だ」
士郎はルイズの頭に手を置き、撫でながら言った。
「あの時とは主従が反対だが。せっかくだからな」
「ま、まあ……シロウがどうしてもって言うのなら……」
ルイズが顔を俯かせてぶつぶつと呟くのを聞いた士郎は
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