第一章 土くれのフーケ
第四話 誓い
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して歩いているのを見付けた。
「何でさ」
思わず口癖が出てしまった士郎だが、よくよく見れば、黒髪の少女が体が隠れる程の洗濯物を抱えて歩いているだけだった。
少女はふらつきながらも、洗濯場まで歩いていたが、その進行先に木の根が飛び出ていることに気がついていない。
それに気付いた士郎は、少女に向かって走り出した。
「きゃっ」
少女は士郎が思ったとおりに、木の根に足を取られ、洗濯物を辺りに散らばしながら倒れようとしたが、駆けよってきた士郎が、散らばろうとした洗濯物を拾いながら、少女を支えたことによって、少女は転けることなく、士郎の胸に飛び込んだ状態になった。
「あっ、あれ?」
冷たい地面に飛び込むはずが、暖かく、どこかぼーっとしてしまう匂いに包まれたシエスタは、慌て顔を上げ、自分を支えたものの正体を確かめようとすると。
「すまない。 両手が塞がっていてね」
と自分を見下ろしながら話し掛けてきた男と目があった。
士郎は、自分の胸で受け止めた少女を見下ろし、話し掛けたが、少女は何も反応することなく、こちらを見つめ続けている。
不思議に思った士郎は、再度少女に話し掛けると、少女は奇妙な声を上げて飛び離れていった。
「ふぇっ」
士郎は、ルイズと同じような反応をした少女を見て、つい吹き出してしまった。
少女は、そんな反応を見て顔を真っ赤に染め上げると、頭を下げながら御礼を言ってきた。
「あっ、ありがとうございました」
そんな少女の反応を見た士郎は、少女が落とそうとした洗濯物を持ちながら笑いかけた。
「どういたしまして。それより怪我はないか?」
「はいっ、お陰様で無事でした」
「それは何よりだ」
そう言って士郎は、洗濯場に向かって歩き始めた。
歩き始めた士郎にシエスタは慌て声をかけた。
「まっ待ってください、あの、洗濯物を……」
士郎は、そう言ってきた少女に笑いかけながら振り返った。
「また転けたらいけないだろう。俺も洗濯場に用事があるからな」
そう、笑いながら言ってきた士郎に、シエスタはなぜか赤くなっていく顔を伏せながら呟いた。
「で、でも。私の洗濯物、量が多いですし……」
「気にすることはない。俺にとっては軽いからな」
そう言って士郎は、シエスタが持っていた洗濯物を片手で持ち上げて、洗濯場に向かって歩き始めた。
そんな士郎を見たシエスタは、士郎の前に回り込み、赤くなった顔を向けて笑いかけた。
「私はシエスタって言います。あの、あなたのお名前をお聴きしてよろしいですか」
「ああ、別に構わないが。俺の名前は衛宮士郎だ。ま、気軽に士郎とでも呼んでくれ」
「シロウ、様ですか……」
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