第九十四話 雷鳴のカトレア
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めた。
「ツェルプストーのキュルケ。キミも説得して欲しい……って何処に行く!?」
「わ、私、あの赤ん坊の母親を探してきまぁす」
当事者の一人のキュルケは危険を察知したのか、本屋の赤ん坊と共に姿を消し、マクシミリアンには既に逃げ場は用意されていなかった。
「あ、あわわわわ」
マクシミリアンは今まで感じたことの無いプレッシャーに襲われ、足がすくみ逃げる事すらできなくなっていた。
屋根の上の女性は銀色の杖を振るい『ライト』の魔法を唱えた。
今まで影になって見えなかったカトレアの顔がようやく拝めるようになったが、マクシミリアンは女性の顔を見て驚愕した。
「やっぱりカトレアだったか、って、すごい目をしているぞ!?」
シルエットの女性は言うまでも無くカトレアだった。
カトレアの瞳のハイライトは消え、何の感情も現していない。
そんなカトレアの口がようやく開いたのは、マクシミリアンの足が震えだしてから3分後の事だった。
「マクシミリアンさま」
「お、おおお、カトレア。ようやく喋ってくれたか」
「わたし、マクシミリアンさまに言いましたよね? ツェルプストーには気を付けて下さいと、それなのに簡単に色香に引っ掛かって……情けないです」
「いや、な。ただの小娘なら僕も歯牙にも掛けなかったんだが、広大で尚且つ良質な鉄や石炭を吐き出す領地を持つツェルプストー家とお近づきになりたいと思ったんだよ」
「……目的は資源を持つ領土で、彼女には興味は無かったと?」
「いや、その……中々、面白い娘だったし……」
マクシミリアンはカトレアから発するプレッシャーに最後まで弁明をいう事が出来なかった。
「……オシオキです!」
カトレアは銀の杖を空高く掲げると、瞬く間にヴィンドボナ上空に雷雲が発生した。
ゴロゴロ、と雷光は見えないが雲の上から雷鳴が鳴り、今にも雷が落ちてきそうだ。
「あ、待てカトレア。話せば分かる!」
「問答無用です! フレール!」
『クェェェェッ!』
フレールが羽から紫電を雷雲に向け放つと、小さな紫電は雷雲によって巨大な雷に成長し、轟音と同時に巨大な稲妻がマクシミリアンに向かって落ちた。
「ぎゃああああああああああ!!」
稲妻の衝撃波は強烈で、マクシミリアン周辺の窓ガラスは全て吹き飛び、稲妻の高熱が血に汚れた石畳をドロドロに溶かした。
肝心のマクシミリアンは、稲妻が石畳に落ちた後に出来たクレーターの中心で見つかり、黒焦げになりながらも目を回しているところを護衛の帝国貴族によって発見された。
護衛の帝国貴族は言う。
「……賢王よりも恐ろしい方がいた!」
「お、俺はこの光景を忘れない。トリステ
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