第九十四話 雷鳴のカトレア
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ルケは痺れる身体を押して空を見ると、数百を越す水の玉が上空を漂っていて、白い線を放ってモンスターを攻撃していた。
白い線は情け容赦なくモンスター達を貫き弱いモンスターは駆逐されていく。
最後に残ったトロル鬼は絶叫を上げて、空に居る『何か』を掴もう手を伸ばすが、手を伸ばしきった次の瞬間、トロル鬼は氷付けにされてしまった。
「ふっ」
空に居た『何か』は不適に笑うと、凍りついたトロル鬼の手の甲に乗った。
(……あ、あの方、じゃない、あの御方は)
キュルケはトロル鬼の手の上に立つマクシミリアンを見て、恋の炎が身体中に燃え広がった。
最初は本気ではなく、ラ・ヴァリエール家に対する当て付けとしてマクシミリアンに近づいたはずだったが、ものの見事にキュルケはマクシミリアンに恋をした。
……
つい数秒前に、一人の少女を『撃墜』した事に気付かないマクシミリアンは、王家の杖を振りかぶると、凍りついたトロル鬼を『エア・ハンマー』と殴りバラバラにさせた。
「これで市内のモンスターは駆逐したみたいだな……ん?」
帰ろうとした矢先、マクシミリアンの脳内に、ウォーター・ビットからに足元に動けなくなった市民が居る情報が転送されてきた。
「っと、被害者が居たか。待ってろ、すぐ助ける」
マクシミリアンは『レビテーション』でキュルケの下に降り立つと、キュルケは弱々しく微笑んで反した。
「ツェルプストーの、確かキュルケか? キミが被害に会っていたとは」
ボロボロのドレスで半裸に近いキュルケに、マクシミリアンは羽織っていたマントを剥いでキュルケの身体に巻いてやった。
「陛下……陛下が来て下さらなかったら、今頃私……」
マクシミリアンが倒れたキュルケを抱きかかえると、キュルケは『しな』を作ってマクシミリアンの胸に顔を寄せた。
パラライズ・アイの効果は残っているが、首一つ動かせる程度には回復し、キュルケはここぞとばかりに攻勢を掛けて来た。
「こんな時にも関わらず、僕にアタックを掛けるのには感心するが、身体中が震えているじゃないか……んん?」
マクシミリアンは抱き寄せたキュルケが小刻みに痙攣している事を、恐怖によるものだと勘違いしたが、すぐに間違いだと気が付いた。
「たしか駆逐したモンスターの中に『バグベアー』が居たな、身体中の痙攣はコイツのせいか。ちょっと待ってろ」
マクシミリアンは何やら魔法のスペルを唱えると、王家の杖でキュルケを小突いた。
「あら? 身体の痺れが……」
「これで身体の痺れは取れただろう?」
「ありがとうございます陛下。私、陛下に御礼をしないと……」
魔法で身体の麻痺が解けたキュルケは、辺りを見渡して誰も居ない事
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