第一章 土くれのフーケ
第二話 あなたのなまえは……
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良く言い放ったが。
「ヴァリエール家ってなんだ?」
まあ、この長ったらしい名前から貴族だとは予想はつくが。
本当に分からないといったように首を傾げる男の反応に対し、ルイズはつい転けそうになったが、何とか立ち直り。
「何って、トリステインの公爵家じゃないっ。そんなことも知らないなんて、どんだけ田舎から召喚されたのよ?」
と呆れたように呟いた。
「そんな田舎から来たわけではないと思うんだがな。ああ、後トリステインというのも実は全く分からないんだが」
「はぁー? トリステインも分からないの? 有り得ない、あんた一体どこから来たのよ!?」
「いや、どこからと言われても、確かあそこはイタリア北部の町だった筈だが」
「イタリア? 何それ?」
男の答えに対し、ルイズも質問で応えてしまった。
そのルイズの反応を見た男は、心の中で自分の仮説の信憑性がいよいよ高くなっていくのを感じていた。
外を見た時から予想はしていたことだが、これはいよいよ間違いなさそうだな……
「国の名前だよ、君は知らないと思うがな。それより、ここはどこなんだ?」
「確かに知らない国名ね……ここはトリステインにある、かの高名なトリステイン魔法学院よ」
「ま、魔法学院?」
「ええそうよ、……まさかそれも知らないの?」
ルイズに呆れられたような目で見られた男は、顔を伏せ、深いため息をついた。
「ああ、知らないな」
これは確定だな。
致命傷を負っていたはずの自分の体を、たった3日間で治す水の秘薬というものがある。
一般常識の内に入る国名を知らず、代わりに世界中の国名を知っているハズの自分が知らない国を、さも常識だと言うように答える少女がいる。
そして何より、窓から外を見た時に気付いた、青空にうっすらと浮かぶ2つの巨大な月。
ここは……異世界だ……
いきなり凄いため息をついた男を、不思議な目で見たルイズは、気を取り直すかのように一度目を瞑って目を開け、男に話しかけた。
「まあ、あんたがどれだけ凄い田舎から来たかは知らないけど、これからのあんたは、あたしの使い魔になるんだから常識ぐらい知っておきなさいよねっ」
そんなルイズの言葉を聞いた男は、伏せていた顔を勢い良く上げ、ルイズに驚きに見開いた目を向けた。
「今、使い魔と言ったか?」
「え、ええ、言ったわよ?」
「誰が?」
「あなたが」
「誰の?」
「私の」
「………………」
ルイズは男のいきなりの反応に驚いたが、男の質問に律儀に答えた。
ルイズの答えを聞いた男は、暫くの阮ウ言で顔を手で覆って天上を見上げていたが、先ほどのため息よりも大きなため息を吐き。
「……何でさ……」
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