第8話 魔法少女でも恋がしたい!
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生徒を諦めてしまう事がなによりも惨めだった。
「―――俺は凄いと思うぞ。お前のこと」
「…え」
「俺が力を隠してた理由は主に目立ちたくないからだったんだが、それ以外にもう一つ、前線に出続ければ仲間を守れるってのもあったんだよ。少なくとも、半年前までは本気でそれが正しいと信じてた」
しかし、リクが救った仲間が別の部隊での任務中に死亡した知らせを聞いたリクは、思った。
「俺のやってる事はただの自己満足で、結局誰一人救えてやしないし、守れていない。その場は救えても、助けられても、結果的に死んでしまう」
そう思ってしまったのが半年前だった。
そしてリクは、結局死ぬなら助けても無意味だ。じゃあ与えられた仕事だけ淡々とこなしていけばいい。後は面白おかしく生きてれば万事問題ない。
「今思えばバカな事を考えてたんだって思う。そんな事を考えながら数ヶ月生活してたとき、―――俺はお前に出会った」
その言葉はなのはの心を困惑させるのに十分すぎる威力を持っていた。
今リクは言ったのだ。昔、自分となのはは出会った事があると。
「そ、それって―――」
「お前が俺を覚えてなくても当たり前だ。その時お前は短期の教導に来ていて、俺は力を隠してミッド式の魔導師の振りをしていたんだからな」
それを聞いて納得する。
なのはは短期の教導や、一日だけの臨時教導など、様々な仕事をしている。当然教える生徒の数も膨大なものになる。
極力教えた生徒の名前は覚えるようにしているが、当然の如く限界はある。
それに今のリクと、その当時教えていたリクではイメージが違い過ぎる。覚えていなくても無理はない。
「その時にお前を見て、俺は心底凄いって思ったよ。今まで俺は、自分の力で誰かを守る事だけを考えていた。守るって事は自分の手で守るってことで、それが絶対だとどこかで思ってた」
そしてリクはなのはを見つめる。
そのまっすぐな瞳に、なのはの心臓は否応なしに高鳴るが、今ばかりは必至に押さえつける。
「けど、お前の教導を見てて唐突に思った。ああ、こいつは、守りたい奴を強くする事で守ってるんだなって。よくある表現でいえば、ハンマーで頭を殴られた感じだった。そんな風に誰かを守れるなんて思いもしなかったからな」
(いま思えば、あの時から―――)
そう思いそうになって、考えるのを止める。
惹かれ始めた時など、考えるだけ無駄だと思ったからだ。
「あの時からなのはは俺のちょっとした憧れ、みたいなもんだった。だからさ―――」
「ふ、ふふふ、あははは」
「ってまてコラ。なに笑ってんだ」
「だ、だって…あ、あまりにも一生懸命だから、お、可笑しくって…」
「ぐ…、悪かったな。ヘタクソな
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