さっそく刺客
[8]前話 [2]次話
アスファルト、タイヤを切りつけながら白昼堂々、走り抜ける。全力で疾走するのは勿論俺だ。それも盗んだバイクならぬ盗んだバイシクルなんだけど、合ったことを有りのまま話すべきか。
早くも刺客とやらに追われる事に相成ったわけなのだが、ブリッツの制服を着た子が正門で待ち伏せと言う如何にもベタなやり口にどう対処するかと考えていてら、たまたま刺客の近くにカギ付きの自転車が置かれていただけのこと。奪って逃走することにした。
向こうの魔法使いさん、見たところショートヘアーが少しキュートで円らな瞳の女子のようだ。これが命のやり取りでなく恋のやり取りだったら死んでも良いのに……。追われると逃げるのはどちらも同じなんだけどな。
「ちょっと待ってよー」
「ちょ!! 足早っ!!」
結構本気で自転車を漕いでいるにも関わらず、駆け足で追走してくるとか無いわ。コイツどんなけ足がはやいんだよ。
「ちょっと待ってってば―」
何のために逃げるとお思いで? バカ野郎め。何故俺が懇切丁寧にお前を待たなくてはいけない。辻の性格上、刺客にはデットオアアライブと吹き込んであるはず。待つと捕まる。捕まると死ぬ。
すぐさま狭い裏道に入り込み、角を蛇のように無造作に曲がって逃げる。向こうは走ってるわけだから、当然俺よりも疲れるはずだ。ピークを迎えるころに下り坂で一気に撒いてやる。
しかし、何度曲がり角を曲がっても追いかけてくる執念には、敵ながら敬意を表したいところだが、命は大切にしないとな。追うなら追うが良いさ。絶対に追いつけやしない。
「この自転車泥棒っ!!」
「何とでも言え。ばーかばーか」
もうそろそろ、疲れてきただろう。俺も疲れたし、あの下り坂を一気に下りて振り切るとしよう。
そう思い、下り坂の三差路に差し掛かった時、少し確認を怠った。勢いよく自転車を漕いでいたため人を轢いた。被害者はブリッツ学園の制服を着ている。当たり所が悪かったせいで、被害者さんは天空に投げ出され、高速で風車のように回転しながら飛んで行くと、行きついた先は見知らぬ女子の豊満な谷間だ。女子から罵声交じりの悲鳴を頂くと同じくして、剃刀よりも鋭いアッパーカットを頂くと彼はまた宙を舞い、見えなくなるまでその連鎖が続いた。それなんてクラッシュゲー?
「ああなったのが自分じゃなくて良かった」
つい本音が口から漏れだした途端、背後から両手で首根っこを掴まれる。
「待ってって言ったでしょ?」
最悪です。刺客に捕まってしまった。この場合どうしたら助かるんだろうな。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ