第三十一話 第七次イゼルローン要塞攻防戦
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イスも二度、三度と頷いている。
「改革の規模は大きくはなさそうですな」
「私もそう思います」
ケスラー、キルヒアイスの言葉に俺も同感だ。俺達がイゼルローンに居るのは一ヶ月から二ヶ月。混乱が起きるとしてもその程度で済むと公は考えている。少しずつ変えていく、そういう事だろう。
「こうなると反乱軍が大人しく退いたのが不気味ですな。公の危惧する通り、再度来襲する可能性は有ります」
「うむ」
ケスラーの言う通りだ、反乱軍が無理攻めを行い消耗してくれれば良かったのだが……。ここで叩いておけば改革によって混乱が生じても反乱軍は直ぐには動けないはずだった……。どうも上手く行かない、中途半端な形で終わってしまった。公の言う通り油断は出来ない。
「リューネブルク中将の事ですが、偶然でしょうか」
キルヒアイスが眉を寄せながら訪ねてきた。さて、如何だろう。答えられずにいるとさらに言葉を続けた。
「たまたまと言うにはいささか不自然な気がするのですが」
ケスラーも考え込んでいる。
「予測していた、キルヒアイスはそう思うのだな」
「はい」
ケスラーに視線を向けた。彼が太い息を吐く。
「おそらくその通りでしょう。確かイゼルローン方面軍司令部の人事発令にはリューネブルク中将の名前は無かったはずです。反乱軍を油断させ誘き寄せるためでしょう」
「公の狙いは反乱軍の攻略案を失敗させ、その上で無理攻めをさせて損害を大きくさせる。それによって改革の混乱に付け込ませない、そういう事か……」
俺の言葉にキルヒアイスとケスラーが頷いた。
「オーディンでブラウンシュバイク公に呼ばれた時、反乱軍が攻めてくる可能性が有るにも拘らず公は上機嫌だった。不思議だったがそういう事か……」
怖い男達だ。反乱軍の狙いを読み取りそれを逆手に取ろうとしたブラウンシュバイク公。それに乗ることなく大人しく退き上げ、機を窺う反乱軍。帝国が優勢に戦局を支配しているとはいえ決して油断は出来ない。一つミスを起こせばひっくり返してきそうな怖さがある、溜息が出た……。
「先ずは予定通り、イゼルローン要塞へ急ごう」
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