第三十一話 第七次イゼルローン要塞攻防戦
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聞いている。その当時の部下が偽装した人間の中に居たという事か、それで正体がばれて捕まった……。
「では内部からの攻略が失敗したので反乱軍は撤退した、そういう事でしょうか?」
ブラウンシュバイク公が頷いた。
『おそらくそういう事でしょう、そのまま攻めかかってくれれば向こうを消耗させる事が出来たのですが大人しく引き下がったようです。……クブルスリー司令長官は中々手強い、油断は出来ません』
公が苦笑を浮かべている。確かに手強い、利が無いと見るやサッと退いた。簡単なようで簡単ではない。
しかし、そうなると我々はどうするのだろう、反乱軍が引き揚げた以上我々もオーディンへ引き返すのだろうか。残念だ、せっかく四個艦隊を指揮できる立場になったのに……。
『ミューゼル提督はそのまま四個艦隊を率いてイゼルローン要塞に赴いてください』
「はあ? 宜しいのですか?」
思わず間の抜けた声が出た。それを聞いて公がクスクス笑い出す。いかん、顔が赤らむのが自分でも分かった。
『失礼、理由は三つ有ります。先ず第一に軍首脳部はイゼルローン方面軍司令部を全面的に支えると約束しました。それを証明しなければなりません』
なるほど、今回は援軍が着く前に撃退した。しかし本来なら俺達が増援となって撃退するはずだった、それの証明か……。
『第二に今回の防衛戦でイゼルローン方面軍司令部に何か問題が無かったか、改善点が無かったか、私の代理としてそれを確認してください』
「承知しました。それで三つ目の理由とは?」
俺が問いかけるとブラウンシュバイク公が僅かだが表情を厳しくした。ハテ、急ぎ過ぎたか、気を悪くしたか……。
『来月の中旬頃になりますが帝国で政治改革が始まります』
「!」
さりげない口調だったが周囲を緊張させるのには十分な内容だった。政治改革……、何時かは始めるだろうと思っていたが……。
『場合によっては帝国内部で混乱が生じる可能性が無いとは言えません。そして反乱軍がその混乱に乗じようとする可能性も無いとは言えない……』
「……」
なるほど、三つ目の理由は我々の艦隊がそれを防ぐという事か。
『暫くの間、ミューゼル提督達にはイゼルローン要塞で待機していただくことになります』
「了解しました、どの程度の期間になるでしょう、ある程度の目安を知りたいのですが……」
『大体一ヶ月から二ヶ月と見ています』
「一ヶ月から二ヶ月……、了解しました。イゼルローン要塞で待機します」
ブラウンシュバイク公が頷いた。
「改革を行うのですか……、まさかこんな日が本当に来るとは……」
ケスラー参謀長が溜息交じりに呟いたのは通信が終わってしばらくしてからだった。同感だ、公が帝国を変えようとしているのは知っていたがまさか本当に始まるとは……。キルヒア
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