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我が剣は愛する者の為に
賭けの結果
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の肩に腕を回して、強引に本陣に戻る。

「ちょ!?」

急に引っ張られ驚くような声をあげる。

「さぁ、戻るぞ。
 早く戻らないと、華琳や桂花が怒るからな。」

「・・・・・だな。」

無理矢理にでも元気づけるため、大きく声を出すと一刀も力のない笑みを浮かべつつ本陣に戻った。



桂花の作戦通り、敗走した賊は後方部隊が追撃を行い、賊を壊滅させ、城を陥すことに成功。
一時的なものだろうが、この辺りは賊による被害は治まる筈だ。
季衣はそのまま華琳の部下として残る事になった。
ちなみに今回の武功をもって親衛隊の隊長に任命。
大出世である。
この辺りを治めていた州牧が盗賊に恐れをなして逃げ、華琳が引き継ぐような形でこの辺りを治める事になった。
当初、独立を最終的に考えている俺達に渡す話も出たには出たのだが、これは華琳の部下たちによる功績が大きかったので、謹んで辞退した。
ここまでは順調だったのだが。

「さて、桂花のことについてだけど。」

「はい。」

少しだけ顔色の悪い桂花。
それもその筈。
結果から言わせてもらうと、桂花は賭けに負けた。

「桂花、最初に約束した事を覚えているかしら?」

「はい。」

わざとらしく確認を取る辺り、華琳はちょっと性格が悪い。

「城を目の前にして言うのもなんだけど、私はとてもお腹が空いているの。」

桂花が提案した策が思っていた以上に上手くいって、予想以上に兵士が残った事。
これに関しては桂花の予想の範疇だったので、糧食は足りる筈だった。
だが。

「ですが、曹操様。
 一つ言わせていただければ、それは季衣が・・・」

「にゃ?」

桂花の発言の意図が分からない季衣は首を傾げる。
そう、季衣が小柄な体型の割に物凄く食べる。
ざっと言えば、普通の兵士が食べる十倍は食べる。
季衣の胃袋を満たすために、糧食は見る見るうちに減り、昨日の夜に全て無くなったという訳である。
あの時、血の気が引いていく桂花の顔は凄かった。

「華琳、今回は大目に見てやれ。」

「そ、そうですよ、姐さん。
 桂花さんの策のおかげで兵士さん達は怪我も少なく、被害も最小限でした。
 季衣さんがあれだけ食べるなんて、誰も予想できません。」

「不可抗力や予測できない事態が起こるのが戦よ。
 それを言い訳するのは、適切な予想のできない愚か者ということよ。」

俺と華憐がフォローに回るが、聞き入れてくれない。

「え、えっと、ボク、何か悪いことでもしたかな?」

「いや、お主は悪くない。
 気にする事ではないぞ。」

自分の事で話しているとようやく分かった季衣は、顔色を窺うような視線で俺達を見るが、豪鬼がそれとなく言葉をかける。
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