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我が剣は愛する者の為に
賭けの結果
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は腕を組みじっと見つめるだけにする。
一瞬、一刀と視線がぶつかる。

(おまえの戦いだ。
 手は出さないぞ。)

そういう意味を込めて、鋭い視線を投げかけた。
視線の意味に気づいたのか小さく頷いて、賊を見据える。

「まだ、死にたくない。
 死にたくないんだよおおおおおお!!」

叫びながら型も何もない大雑把に剣を振るう。
俺と毎日欠かさず鍛練して来た一刀なら、余裕でかわせる。
案の定、最小限の動きでかわし、カウンターの要領で剣を振るおうとするが寸での所で止まる。
まだ、迷っている。
だが、俺はそれを責めない。
これは強要して身につける覚悟ではない。
自分自身の手で、意思で、やり遂げなければならない事だ。

「あああああああああああああああ!!」

言葉にならない声をあげて、何度目になるか分からないが一刀に刀を振るう。
変化はそこにあった。
後ろに下がって避けていた一刀が、一歩前に踏み出して剣を避け。

「ご、めん・・・なさ、い。」

歯を食いしばりながら、絞り出すような声と出し、賊とすれ違い様に胴に一撃を与える。
抜き胴のような一撃を受けた賊の腹は裂き、鮮血が迸る。
賊は斬られた胴を手で押えながら、膝を折り地面にうつ伏せに倒れた。
刻一刻と迫る死を感じ、「死にたくない」と念仏の様に何度も唱えていたがすぐ後に聞こえなくなる。
一刀は胴を斬り裂いた形から微動だに・・・いや、肩を震わせながら立っている。
俺は一刀に近づいて、刀を持っている両手を優しく解いて鞘に収める。
いつもは乱暴に頭を撫でていたが、今回ばかりは優しく撫でた。

「よくやったな。」

「え、縁は・・・いつも、こんな気持ちを・・・?」

「だな。
 例え、相手が賊でもこの感触は慣れない。
 ただ、守る者のためなら俺は容赦なく斬る。
 それが自分勝手な理由で奪った命に、申し訳が立たない。」

「お、れは・・・縁みたいに強くない。
 だから・・・出来る限り人は、斬りたくない。
 俺の大事な人を守る為でも、出来るだけ・・・・」

「それがお前の答えなら、何も言わない。」

「いいのかな、こんな答えで。
 人を斬る感触が、嫌だから人を殺したくないって、言っているようなもんだぞ。」

「あの賊を・・・人を斬って出した答えに俺は口出しはできない。
 ただな、一刀。
 それでは・・・」

「分かっている。
 これじゃあ、俺の大事な人を守れないかもしれない。
 大事な人を守る為に、俺は人を斬るかもしれない。
 でも、」

それでも、人は出来るだけ斬りたくない。
一刀は消えそうな声で想いを吐きだした。
こいつは分かっている。
後は俺が言わなくても自分で答えを纏める。
俺は動かない一刀
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