37*ダメな方の保護者
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、財産がある、そして何より、貰い物だが力がある。
帰るのを全く諦めた訳ではないが、どうせ帰っても居場所がないんだ。
だったらこの娘のためにここで骨を埋めてやろう。
いつものチキンな自分はどこへやら、シルバちゃんのためにやたら勇ましい思考回路が出来上がってしまったようだ。
それも翌日の朝、即座にショートする事になったがね。
翌日、やたら早く起きてしまった自分は横で寝ているシルバちゃんの頭を撫でてから、起き上がって服を着た。
ちょっとぼーっとしていると、今は兵士達が起きてくる時間になったらしくガヤガヤとさわがしくなってきた。
テキトーにご飯でも調達してきてあげようかなと思いながら部屋を出ると、一瞬で周りが静かになって、みんなして無言で自分を見つめだした。
………なんね。
自分が困っていると、ガタイのいいお隣りの部屋に棲息するギームさん(王鬼種・26歳の独身男性)が自分に近寄って来て、いきなり肩を掴み始まれ、そして
「あなたは俺達に死ねと言うのかぁ!!」
叫ばれた……なんで!?
「なんでここであんな……俺達だって…あんな声を夜通し聞かされたら……生殺しとはこの事だ!!」
………
「声、漏れてた?」
「ええ、しっかり。奥様が悶え、懇願する声からハセガワ様が焦らして意地悪する声まではっきりと!!」
掴まれた肩にかかる力がだんだん強くなっていく。
イタイイタイイタイ。
爪が食い込む爪イタイイタイイタイ。
「こんな男くさいところであんな声聞かされたら……俺だって恋人さえいたら……みてろよチクショー!!」
ギームさんはそう言うと泣きながら走って行った。
同じように、八割くらいの兵士が思い思いの言葉を発しながら駆けていく。
残ったのは、いわゆる彼女持ちのリア充に分類される人達だけである。
この時点で、自分は男性兵士の大半からアレな眼で見られる事が決定した。
……そして、駆けて行った兵士達を発信源に自分がシルバちゃんと正式に結婚をする事になったことが城中に伝わっていったのである。
もちろん、それによりからかわれるのは自分である。
……ハ、ハズカシイ。
「せん、ナルミさん、大丈夫ですよ。私達の愛は誰にも邪魔はできません」
「君さ、君のそれが余計に拍車をかけるって事に気が付いて。そして問題点が根本から間違ってるから」
それからしばらく、自分は祝福とも冷やかしともとれる扱いをみんなからうけるのであった。
……拝啓母上様。
不肖、あなたの息子にして一人の漢、長谷川 鳴海は別世界にて吸血鬼の嫁を貰う事になりました。
とてもかわいらしく、器量よしのいい娘ですが……
結婚とは苦労するんですね。
幸せですが、
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