黄巾の章
第8話 「……ナンデモナイヨー」
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様の策のおかげで、一万の黄巾を六千で、しかも被害零で倒したんだから!」
!!
あたしと霞が、驚愕の眼で盾二を見る。
見られた盾二は、平然と茶を啜っている。
周囲の愛紗や鈴々も平然としているし、盾二の横の朱里や雛里もコクコクと頷いている。
本当、なのか……
「被害零、って……どうやったらそんなことができるねん?」
「んー……簡単に言えば、おちょくって怒らせて引きずり出して罠に嵌めただけ、だよ?」
「あ、あかん……賊が華雄に見えてきた」
偶然だな、霞。
今あたしも、華雄が賊の棟梁に脳内変換されていたよ。
「まあ、普通に戦っても賊相手なら十分勝てたけどさ。さすがに被害がでるから姦計をもちいらせてもらったよ」
「それでも零って……」
「まあ、俺は防戦に特化しているだけさ。攻勢とか城攻めの時は朱里や雛里に任せて、俺は武将として前線に出るし」
「やっぱ武将やん」
……つまり文武ともに高い能力があるってことか?
とんでもないな……こんな人材が義勇軍に埋もれていたなんて。
「じゃあ、今後について、なにか具申はあるん?」
「そうだな……霞が率いていたのは董卓軍の私兵? それとも漢の近衛兵?」
「近衛? ああ……ちゃうちゃう。前に率いていた軍は確かに洛陽の常備軍やったけど、それらは華雄や馬岱と一緒に洛陽に戻したってん」
「あ、蒲公英は無事だったんだ」
「……翠。あんさん、結構ひどいな」
「う、うっせい! ちょっと忘れてただけだよ!」
「……まあええわ。今は董卓軍から、ウチの部隊を連れてきとる。数は……まあ五千もないけど」
「ふむ……なら命令系統も一本化できるし、多少の無茶はできるか。朱里、雛里、地図を」
「「はい!」」
盾二の言葉に、朱里が地図を広げる。
木の盾に脚立をつけた即席の机の上に、地図と駒が置かれていく。
「今いるのはこの辺。洛陽は南西のこのあたりだ。で、こないだ霞や翠が戦ったのが……この辺り。間違いないか?」
「ああ」
「戦った黄巾の主陣は、細作の話では……ここら辺の山間のどこかに砦を構えているらしい。この辺では珍しく、木が生い茂っている深緑山だ。周囲のような禿山ではないらしい。ゆえに……大軍を用いるのに非常に困難だ」
「攻め難く、守りやすい……難攻不落やねぇ」
霞の言うこともわかる。
山の上にある陣というのは、とかく攻めにくい。
ましてや木々が生い茂る砦など、寄せ手が十倍いても勝てるかどうか……
「まあ、普通は高所の上に木々が防護壁となるから、こちらの矢は届かないわ、向こうの矢は遠くまで届くわで不利極まりない。だから、通常だと火計を用いて砦を焼くのが常套手段だが……この辺りは水気が多いらしいな」
「あ……あちゃー! そうやった
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